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2018/07/09

東京から横浜への「複数ルート」

 東京の都心から横浜へ。実は最も多くの路線が競合しているのがこの区間かもしれない。東京東部からなら東海道線や京急があるし、西側なら湘南新宿ラインと東急東横線。JRなら東京北部からさらに大宮方面にまで直通しているし、京急・東横線もいずれも地下鉄への直通がある。だからかなり悩ましいのだが、ここでは起点を揃える意味で品川駅と新宿駅を起点にそれぞれのルートを検討してみよう。

・所要時間
JR 品川~横浜 16分 
京急 品川〜横浜 17分
―――
JR 新宿〜横浜 33分
東急・メトロ 新宿三丁目〜横浜 35分

東急

 まさに互いに譲らず。少し分が悪いとするならば、新宿起点の東急経由だろう。こちらは新宿三丁目駅まで新宿駅から5〜10分程度の移動が必要な分だけ、所要時間が増えてしまう。

新宿起点では約120円東急経由が安くなる

・運賃(ICカード利用)
JR 品川〜横浜 288円
京急 品川〜横浜 298円
―――
JR 新宿〜横浜 550円
東急・メトロ 新宿三丁目〜横浜 432円

 一般的に競合区間では私鉄のほうが運賃が安いケースが多いが、京急とJRの場合は逆転、わずか10円だがJRが安くなっている。とはいえ、まったくの互角と言っていいだろう。新宿起点では約120円東急経由が安く、こちらは明確に東急経由に軍配が上がる。

東海道線

新宿三丁目駅付近にいるのにわざわざ新宿駅に移動してしまう

・利便性
JR 品川〜横浜 上野東京ライン経由で東京・上野などからも直通。おおむね10分間隔
京急 品川〜横浜 都営浅草線に直通、快特が10分間隔
―――
JR 新宿〜横浜 湘南新宿ライン経由でこちらも池袋・大宮から直通。15分間隔
東急・メトロ 新宿三丁目〜横浜 地下鉄副都心線経由でさらに西武池袋線・東武東上線方面からも直通。速達の急行「Fライナー」が15分間隔

 と、いずれもまさしくがっぷり四つの五分と五分。それぞれの直通先のどちらからアクセスするかによって選ぶ手段が代わるのが東京〜横浜なのだ。ただ、逆にいつも使う手段が限定されてしまうために他のルートが盲点に入ることもある。例えば普段はJRで新宿から横浜まで行っていると、新宿三丁目駅付近にいるのにわざわざ新宿駅に移動してJRを使ってしまう……というパターン。つまり、優劣がないこの東京〜横浜間、だからこそ普段使っていないルートを頭に入れておけば、賢く移動することができるということになりそうだ。

 いかがだろうか。さすがにどの競合区間も簡単には優劣がつけがたい拮抗した戦い。需要も多いし長年熾烈な競争にさらされてきたわけで、いずれも所要時間や運賃、その利便性などで競い続けてきた歴史がある。果たしてこれからも現在の優劣が保たれるのか、それとも“逆転劇”があるのか。鉄道会社間のそんな“競走”にも目を向けてみると、都会の混雑した鉄道も少しは楽しめるのかもしれない。

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