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2018/07/10

「新宗教ブーム」と「自分探しブーム」

 時代の先行きが見えにくくなるにともない、若者のあいだでは「自分探し」が一種のブームになり始める。この年7月20日に封切られたアニメ映画『おもひでぽろぽろ』は、1982年に27歳となったOLが、休暇で山形の農村に滞在し、10歳のころを振り返りながら、農作業などを通じて変わっていくさまを描いた。同作の監督の高畑勲(今年4月死去)は、他人抜きで自分を探しても見つからないと、「自分探し」には否定的だったが、《女性の大半が働くようになって、動揺することが多いのは分かります。その場合、自分の過去を意識し直すというのは意味があると》して、この映画を手がけたという(『dankaiパンチ』2000年8月号)。

 映画の舞台となる1982年と現在では、働く女性を取り巻く環境も変わったとはいえ、27歳という年齢は、いまでも女性にはその後の人生を考えるうえで結構大きな分岐点だろう。

アイドルにとって「27歳」という年齢は

 女性アイドルも、全体的に平均年齢は上がったとはいえ、27歳はやはり結構な年長である。柏木由紀はAKB48ではついに最年長のメンバーとなった。それでもファンからは、最近になって卒業しないでほしいと言われることが多くなったという(『女性セブン』2018年7月12日号)。一方で、6月には初の小説『アイドル誕生!~こんなわたしがAKB48に!?~』を刊行、女優としてもNHK大河ドラマ『西郷どん』にまもなく登場するなど、ソロ活動も目立つ。このままグループでの活動と両立しながらどこまで行けるのか、柏木は一つの指標をつくることになるかもしれない。

柏木由紀 ©文藝春秋

 柏木と同月生まれの前田敦子、板野友美、松井玲奈は、すでにグループを卒業して、それぞれの道を歩んでいる。前田は2012年の卒業以来、多くの映画やドラマに出演し、この9月には、小泉今日子、沢尻エリカ、広瀬アリス、山田優、壇蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香ら豪華女優陣との共演が話題の映画『食べる女』の公開を控える。

板野友美 ©文藝春秋

 AKB時代よりソロで歌手やモデルとして活躍していた板野友美は、今年5月には念願のバンド編成でのライブツアーを終え、27歳になった今月28日には久本雅美とダブル主演し、主題歌も歌う映画『イマジネーションゲーム』が公開予定だ。元SKE48の松井玲奈も女優として着実にステップを踏み、今年に入ってからはフジテレビの月9ドラマ『海月姫』に出演、10月スタートのNHKの連続テレビ小説『まんぷく』では、安藤サクラ演じるヒロインの親友役に抜擢されている。

 27歳になった彼女たちは、新たな仕事との出会いのなかで、アイドル時代とはまた違った「自分らしさ」を発揮しつつある。来たるべき平成の次の時代、それぞれさらなる変化を遂げた姿をぜひ見てみたい。

2011年のAKB総選挙 ©文藝春秋

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