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「感じが悪い」と生きていけないこの社会

「異文化」を「感じの悪さ」に翻訳してしまう“この国のかたち”

2018/07/12

感じいい人たちだけで回っていることは「衰退」なのではないか

 研修後のアンケートとかで、大学出たての日本の若者が「外国人と一緒に働くことをどう思いますか」って質問に対して「せっかく大学まで出ていい企業に就職したと思ったのに、外国人と一緒に働くことになって辛いです」みたいな率直な回答をしてくる人も稀にいてブルーになります。お前さあ。まあ、いままで日本人に囲まれて日本社会で暮らしてきた人たちからすれば、どうしても違和感があるのは仕方がないことだとは思うんですけどね。

 日本人同士ですら、感じ悪いっていうだけで仕事を干されたり連絡網から外されたりすることもまた多いわけなんですが、この感じいい人たちだけで回っている居心地の良さというのは、いずれ衰退の象徴になっていくと思うんですよ。夜疲れてコンビニにいって応対してくれる外国人の店員に釣りを渡されて「ありがとう」と一言言えるかどうかで、ずいぶん違ってくるんじゃないかとすら感じます。親父お袋が病気になって、仕事以外の世間に触れる機会が多くなって初めて、私もようやく「相手を尊重するとはどういうことか」が何となく分かるようにはなってきました。

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「なし崩しの移民増加」が生み出すもの

 これから外国人がもっと増えていくであろう日本で、彼らにもう一歩日本のことを知ってもらうための工夫をどうするのか、ちゃんと考えたほうがいいんだろうなあと。あるいは、欧州のように「もうこれ以上、移民は受け入れられません」とやったり、ドバイやシンガポールのように「あなたがたは労働力です。雇用が無くなったら在留資格も無くなります、強制送還です」とするのがいいのか。安い労働力だと思って呼んできた外国人は、単に労働力ではなく、幸せを求める一人の人間であることも含めて、日本は外国人を受け入れる能力を磨く方法を考えなければなりませんし、安倍晋三政権が放置しているようにも見える「なし崩しの移民増加」が日本社会にとってとんでもない断絶と対立を生まないよう祈るのみであります。