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競馬爆笑放談 完全版 萩本欽一×さだまさし「ロマンを教わったのよ、自分の馬に」。

さだ 欽ちゃん、僕ね、今年の日本ダービーで、初めて12万人の大観衆の前で国歌を歌ったんです。今までそんな経験ないでしょ、せいぜい多くて、3、4万人じゃないですか。

萩本欽一
1941年5月7日、東京都生まれ。コメディアン。66年、坂上二郎と「コント55号」を結成し、テレビで大活躍。ソロでも、『欽ドン! 良い子悪い子普通の子』『欽ちゃんのどこまでやるの!?』など高視聴率を稼いだ。30歳で個人馬主となり、現在も現役馬2頭を所有
(撮影:杉山拓也)
萩本欽一
1941年5月7日、東京都生まれ。コメディアン。66年、坂上二郎と「コント55号」を結成し、テレビで大活躍。ソロでも、『欽ドン! 良い子悪い子普通の子』『欽ちゃんのどこまでやるの!?』など高視聴率を稼いだ。30歳で個人馬主となり、現在も現役馬2頭を所有
(撮影:杉山拓也)

萩本 僕なんて、舞台と言ったら、明治座の1000人ほどで、それ以上の劇場ではやらないからね。

さだ 初めての経験だから緊張して、歌詞を忘れちゃいそうになりました。しかも平成最後のダービーで、競走馬にとっては一生に一度の晴れ舞台。そこで歌えるんですから、歌い手にとってはとても光栄なことですね。3時半に歌うのでいろいろ準備をしていたら3レースほどできなくて、東京競馬場に来た中では一番負けが少ない1日になりました(笑)。

初勝利の時はしびれたもの

萩本 どこに話を持っていくのかと思ったら、そこがオチ? でも、緊張したでしょ。ほんと、その気持ちはわかるなあ。僕も初めて自分の馬が勝って口取りでウィナーズサークルに立ったときはしびれたもの。東京競馬場で午前中の早いレースだったけど、それでも何万人もファンがいてさ、まさかそこでお笑いをやるわけにはいかないから、手なんか振っちゃったりしてさ。

さだ 1着に入ったんだから、気持ちが良かったでしょう。

萩本 持ち歌があったら、歌いたかったな。「まつり」とか(笑)。

さだ かわいい愛馬ですものね。

萩本 そう、パリアッチ。昭和52年の日本ダービーにも出たの。最初の所有馬が出たから、毎年ダービーには出られるもんだと思ってね。競馬って面白いなって思った。だから、その頃はダービーを獲るのが夢って本気で思っていたんだけど、そのうち、せめて出走する18頭の中に入ってくれればいいなと。それが長く馬主を続けるうちに、ダービーなんて自分にはとてもとても、今じゃあ、500万下の条件レースで勝ってくれればいいやって。ダービーなんて、夢のまた夢に思えてくる。

さだ 何着だったんですか。

萩本 9着。最終コーナーを回って先頭集団にいたから、ひょっとしてなんて期待していたら、あっという間に馬群に巻き込まれちゃった。

1952年4月10日、長崎県生まれ。シンガーソングライター。「精霊流し」「関白宣言」「北の国から~遥かなる大地より~」など多くのヒット曲を生み出す。今年7月、ニューアルバム「Reborn~生まれたてのさだまさし~」をリリース。小説『解夏』など著書も多数発表
(撮影:杉山拓也)
1952年4月10日、長崎県生まれ。シンガーソングライター。「精霊流し」「関白宣言」「北の国から~遥かなる大地より~」など多くのヒット曲を生み出す。今年7月、ニューアルバム「Reborn~生まれたてのさだまさし~」をリリース。小説『解夏』など著書も多数発表
(撮影:杉山拓也)

さだ でも、その気持ち、わかるなあ。じつは僕も愛馬会の会員(※)になって出資したことがあるんです。400口のうちの1口(25万円)だけですが。なんと、その馬がダービーに出たんです。

萩本 で、結果は?

さだ 5着でした。友だちと一緒に東京競馬場に来て、「お前の馬が走るんだから、買わなきゃなあ」って。「いや、俺の馬じゃなくて、ただの会員だから」って言っても、みんな何万円も単勝を買ってくれて、胸が痛むやら、全員負けですから。

萩本 でも、5着なら掲示板にも乗るし、本賞金も出るわけだから、僕にしたら、ダービーを獲ったようなもんですよ。「5着、よーし!」って言っちゃうね。やっぱり高い馬は走るなあ。

さだ パリアッチは高くはなかったんですか。

萩本 忘れちゃった。でも、僕は馬主の中でも一番せこいほうだから。パリアッチを預けた佐藤(正二)調教師にも「高い馬を持ってきたら緊張するから、買ってくるんじゃないぞ」って最初に言われたし。

さだ 調教師の先生に?

萩本 そう。「先生、でも私も芸能人ですから、それなりには」「バカ野郎、高い馬を買ってくるんじゃねえ」って。

※愛馬会会員は匿名組合に出資しているものであり、馬主とは異なります