文春オンライン

2018年7月7日、新聞は「オウム真理教」をどう報じたか?

「生真面目さ」と「病理」と

2018/07/13
note

 オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら教団元幹部7人の死刑執行。

 その翌日(7月7日)朝刊各紙は何を書くか注目した。

 すると、オウムの総括というより「現代とオウム」について現在進行形の記事が多いことに気づいた。

ADVERTISEMENT

各紙は一面トップで報道した

1995年とオウムの病理

 朝日新聞は事件の取材を続けてきた江川紹子氏のコメントを引用しつつ、こう書く。

《当時と時代状況は一変した。だが、江川氏は「人間関係に悩んだり、社会に居場所がなかったりする若者はいつの時代でもいる」と指摘する。インターネット上の情報をうのみにし、「正義」と信じて他人を攻撃する集団もある。「善悪二元論に陥る『カルト性』は散見される。オウムの問題から教訓を学び、次の世代に伝えていく必要がある」》

 オピニオン欄では映像作家の森達也氏が、

《地下鉄サリン事件は、多くの人々に直接深刻な影響を与えましたが、社会のありようにも変容をもたらしました。「正義か悪か」「味方か敵か」という二分論が強まり、悪や敵とみなされた者を社会から排除する動きが噴出したのです。》

 

 毎日新聞は「病理は消えたのか」(元社会部長・小川一)。

《地下鉄サリン事件の年、ウィンドウズ95が発売され、本格的なネット時代に突入する。(略)誰もが瞬時に世界とつながり発信できる情報革命。皮肉にもその環境が教団にも似た無数の閉じた共同体をつくり、妄想を増大させ、共同体の外には平気で罵詈雑言を浴びせる事態を招いた。》

《オウムの病理は消えてはいない。むしろ、形を変え威力を増して拡散しているのではないか。》