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連載クローズアップ

中村隼人が語る「『NARUTO―ナルト―』と『ワンピース』の違い」

中村隼人――クローズアップ

中村隼人さん

「信念を持ってサスケを演じることができるのは、原作の『NARUTO―ナルト―』が私たちの世代にとってドンピシャだから。こんなに幸せなことはありません」

 歌舞伎界において、ともに20代の坂東巳之助と中村隼人がW主演を務めるのはとても珍しいこと。新作歌舞伎『NARUTO―ナルト―』の原作は、1999年から少年ジャンプで連載が開始され、累計1億4000万部を誇る国民的マンガだ。落ちこぼれ忍者ナルト(坂東巳之助)の成長を描いたバトルアクションで、ライバルであるサスケ(中村隼人)との友情や確執を経て、やがてふたりは強大な敵マダラ(市川猿之助・片岡愛之助の交互出演)と対決する。

「巳之助さんとは、この8カ月間連続で様々な舞台をご一緒しています。大変な思いや辛い経験を共にし、より一層信頼が深まりました。僕が面白いと思うのは、2人に性格的な共通点がないこと。『NARUTO―ナルト―』を読むにしても、僕は作者の意図通りの王道的な読み方をするのですが、巳之助さんはまた違った読み方をしていて、僕にはない考え方を持ってらっしゃる。昨日もいっしょに飲みに行きましたが、話が尽きませんでした」

 同じくマンガを原作とするスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』は、2015年の初演から314ステージを数え、大好評のうちに、5月に千秋楽を迎えた。中村隼人は『ワンピース』では3役を務めた。

「これだけロングランの公演になるとは思いませんでした。昨年の公演では、主演の市川猿之助さんが舞台でお怪我をされて、壁にぶちあたるような気持ちになりましたが、みんなでそれを乗り越えることができました。猿之助さんがあるテレビ番組で僕に『大きく成長した』とメッセージをくださったことも嬉しかった。海賊を題材にした『ワンピース』は登場人物それぞれが抱える問題はあるものの、全体に陽のイメージですが、それに比べ『ナルト』は陰の作品。『忍び』というものは『耐え忍ぶ』ことが仕事です。サスケは実の兄に家族を惨殺され復讐を果たしている。その精神性を、いかにお芝居として楽しく見てもらえるかがカギになると思っています」

©岸本斉史 スコット/集英社・『NARUTO―ナルト―』歌舞伎パートナーズ

 次世代の花形俳優として注目を浴びる。CM、テレビドラマや料理番組MCなど、活躍の幅を広げてきた。

「沢山の方々に歌舞伎を知っていただくキッカケ作りをしていかなければならないと思っています。歌舞伎にはもともと流行っているものをいち早く取り入れて、多くのお客様に見ていただくという精神があります。例えば江戸時代に忠臣蔵の討ち入りがあった際、当時の歌舞伎俳優はその半年後に事件を舞台化しました。先輩方が築き上げ、継(つ)ないできてくださった歌舞伎の精神を、改めて意識することが大事だと思っています」

なかむらはやと/1993年東京都生まれ。中村錦之助の長男。2002年に初代中村隼人を名乗り初舞台。16年にはラスベガス公演『獅子王』で海外公演も経験した。連続ドラマのレギュラー出演のほか、料理番組の司会や「揖保乃糸」のCMなど多方面で活躍。Instagramアカウント:1130_nakamurahayato

『新作歌舞伎 NARUTO―ナルト―』
8月4日〜27日 新橋演舞場にて
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/556