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連載桜庭一樹のシネマ桜吹雪

『REVENGE リベンジ』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

ヒロインに両目が釘付け!

2018/07/15

 わたしは、できることとできないことの差が激しいタイプだ。学生時代に喫茶店でバイトしたときなんか、ほんっとにダメだった。だから、いまこうしてなんとか食べていけてるのは、そんな自分にもできる仕事を死に物狂いでみつけたためだ、と思う。

 一方で、地頭が良くて、やってみたらなんでも身につけられるタイプの人もいる。どの教科の成績もいいし、就職しても、転職しても、新しい仕事をすぐ覚えられる。スポーツだって、こないだ始めたと思ったらもう上手くなってるし。うーん、彼らは、一体どうやってミッションをクリアし続けてるんだろうか……?

 さて、この映画は、女性監督の手になる血みどろ復讐クライム・アクションだ。

 主人公は美貌の女の子ジェニファー。ある日、愛人関係にあるセレブ男性のリチャードに誘われ、砂漠地帯の別荘にやってきた。余興で見事なセクシーダンスを披露するジェニファー。が、別荘を訪れていたリチャードの男友達が興奮し、彼女をレイプする。ついで、スキャンダルを恐れたリチャードが、彼女を崖から突き落として殺そうとする。

 ジェニファーは大怪我を負って逃げ、男達は「人間狩りだ!」と三人がかりで追いかける。スクリーンは経血の如き赤黒い血と大量の水に濡れ、ひどく凄惨だ。海外の映画祭で気絶者が続出したという逸話にも、頷ける。

© 2017 M.E.S. PRODUCTIONS - MONKEY PACK FILMS CHARADES - LOGICAL PICTURES - NEXUS FACTORY - UMEDIA

 ジェニファーが反撃しだす。銃を撃つ。一発目は反動で後ろに吹っ飛んだが、つぎからは、腰を落とし、肩の関節にロックをかける。命がけの実践だ。誰にも教わらないまま、ぐんぐん上達していく。わたしが、あぁ、最初のセクシーダンスもこんなふうにすぐ覚えられたのかなぁ、と考えてるうちに、“一人SWAT”状態になって……?

 自分にはない力を持つヒロインに両目が釘付け! 痛快さと、一欠片の寂しさも感じつつ、堪能しました。

INFORMATION

『REVENGE リベンジ』
シネマート新宿・心斎橋ほかにて全国順次公開中
http://revenge-movie.net/