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連載近田春夫の考えるヒット

“カッコいい老い”とは? 好対照なHYDEとユニコーンの姿――近田春夫の考えるヒット

2018/07/18

WHO'S GONNA SAVE US(HYDE)/OH! MY RADIO(ユニコーン)

絵=安斎肇

 ロックミュージックそのものがいつ興ったかについては諸説あろうかとも思われるが、今日あるロックバンドの基本を成すアートフォームの創始、或いは哲学的(?)部分での礎を築いたというのも、ビートルズより前には誰もやっていなかったことと断言して差し支えあるまい。

 実は数えれば、まだそのあたりから時は60年ほどしか経っていないのである。

 それはそうと。そういった文脈での“ロック”の出現に、俺などそれこそ人生の過ごし方まで変えられてしまったといっても過言ではないだろう。

 あの頃のシーン、見渡せど活躍しているのはオーバーな話なんかではなく本当に若者だけであった。なので我々も“Don't trust over 30!”てなことを訳知り顔でほざいたりもしていたのであるが、とにかく髪を長く伸ばしてバンドをやっているような“年配の人”を一人も見たことがなかったのは事実だ。

 そんな状況を背景にして、一体ロックミュージシャンという人種が歳を取るなんておじいさんになるなんて、当時誰が想像し得たというのか? 俺には、早逝を幸せだったとか美化しようとかいう気もさらさらないけれど、かつての英米スーパースター達の近影などネット上などで見るにつけ、経年劣化の厳しき現実というものもイヤというほど知らされ、複雑な思いのないわけでもない。まぁ、ローリング・ストーンズのメンバーなどなど、例外のなきにしもあらずではあるが……。

 ロックミュージシャンにも、またアイドルなんかとは趣は異なるにしても「アピアランスも芸のうち」みたいな、音以外の要素が評価に結びつくところは、案外強くある。

 いってみればそれは“カッコよさ”或いは色気の競い合いということになるのだろう。ただその方向性にあまり制約はなく、いわゆる二枚目である必要とか、甘いマスクのようなものを絶対的には求めたりもしないのが、ロックの世界の美学的特徴であるが、述べた意味において気になって仕方ないのが、この先、今やもはや青年とは呼べなくなってきた層が如何なベクトルで“カッコいいロックな老い”をそれぞれ展開してくれるのか? なのである。

 そんなことをつらつら考えていた矢先、編集から届いたのが、HYDE12年ぶり、ユニコーン6年ぶりのシングル。

WHO'S GONNA SAVE US/HYDE(ユニバーサル)2006年の『SEASON'S CALL』以来、12年半ぶりとなるソロシングル。
OH! MY RADIO/ユニコーン(SONY)『Feel So Moon』以来6年ぶりにユニコーンでのシングルCD発売。ABEDONとの初ツインボーカル。

 この二作品につく映像が、まさにロックミュージシャンとして対照的な歳の重ね方を示しているようにも思えて、ちょいと興味深かった。

 といって、成るに任せて自然体、良くも悪くもオッサン臭さ全開のユニコーンに対し、歳をとらぬことあたかもドリアン・グレイのようなHYDEと、両者想像通りの演出/見てくれ披露ではあったのだが、それにしても現役演奏家及び客たちの年齢的上限のますます上がっていくことだけは間違いのない我がロック業界。10年後の夏フェス、どんな景色になってるのかなぁと……“想像してください(イマジン)”。

今週の告知「ちょっと早いけれど、7/27(金)、横浜長者町のライブハウス“フライデー”にて、オレのバンド“活躍中”が初のソロライブやるよ。上の本文では年をとったロックミュージシャンはどうなんだとか書いたけれど、オーバー60の実例をお目にかけちゃうよ」と近田春夫氏。「いまオレ、快食快眠快便で気力充実しちゃってるからね!」