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連載尾木のママで

文科省の不祥事は「起こるべくして起こった」――尾木ママ語る

尾木のママで

2018/07/19
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 文科省局長が受託収賄容疑で逮捕! 私立大学支援事業の対象校に選ばれるよう便宜を図る見返りに息子を大学に合格させた――事実だとすれば教育行政や大学への信頼を揺るがしかねない大事件よ!

 ボクが声を大にして言いたいのは、本件は「起こるべくして起こった」ということ。今世紀始めから続く、文科省の大学教育への締め付けと介入が、この事態を招いている。

 国立大学への運営費交付金は二〇〇四年度以降一%ずつ減額、十年間で千三百億円削減。私学助成金も入学定員が厳格化、一八年度は大規模大で入学者が定員の一・一倍を超えると助成金全額カット。各大学は入学者数の予測に苦慮しながら合格者数を絞らざるを得ず、大学経営は厳しいものに。さらに文科省は大学のシラバスの中身やコマ数にまで細かく口を出すのよ。

 一方で、今回の「私立大学研究ブランディング事業」とか、「スーパーグローバル大学」とか、画期的な教育や研究だと文科省に認定されると補助金と「ブランド力」が手に入る仕組みになっている。見事選定されて、大学案内のパンフレットやホームページに「〇〇選定」、と銘打つと、大学の信頼度も知名度も急上昇! 受験生も集まる。国から補助金を年間三千万円程度、最大五年間もらえるから、有能な研究者を数人雇用することもできる。それが研究成果にもつながれば大学の価値は更に上がる。経営悪化にあえぐ大学が「選定」を欲しがるのは、「選定」が“飛躍の土台”になるからなの。

「お金」「管理」で大学を締め上げる一方、「おいしい話」に飛びついてきたら、「息子を合格させろ」と条件をつけるなんて、悪質極まりないわ!

 大学にとって、学問研究の自由・自治は守られるべき砦。文科省にもこの事態を変えたいと真剣に考えている人たちもいる。文科行政の構造的問題、ぜひ変えていってほしい。