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炎上居酒屋「赤坂自民亭」 各紙読み比べで見えてきた「ギョッとする事態」

振り返っておきたいあの「会合」をめぐる報道

2018/07/20
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ネット発の批判が新聞にもやっと伝わったということ

 この赤坂自民亭への批判は一般紙でも徐々に報じられた。極めつけは朝日新聞の検証記事「11万人避難指示の夜 酒席」である(7月14日)。

 注目したいのはこの朝日の大々的な記事は飲み会の夜から9日経ってからのものということ。

 この話題がいかに長い時間をかけて問題視されたかわかるし、もっと言えばネット発の批判が新聞にもやっと伝わったということだ。

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 実は新聞にも弱みがある。

 新聞も赤坂自民亭の翌日(6日)の報道では「大雨なのに宴会?」という論点はなかったのだ。先ほど引用したように産経はあくまで総裁選ネタとして、朝日も「首相、自民議員らと懇談」というさっぱりとしたものだった。

 ネットで大きな批判となり、さらにツイッターに飲み会の写真を投稿した西村康稔官房副長官が謝罪したので新聞も報じ始めたというのが私の実感だ。

西村康稔官房副長官 ©文藝春秋

 ただ、西村康稔官房副長官のふるまいは本当に酷かった。朝日の検証もそこに焦点をあてていた。抜粋する。

・飲み会終了後、西村康稔官房副長官(衆院兵庫9区)は自身のツイッターにグラスを片手に笑顔を見せる集合写真を添え、約1時間40分後には大雨について投稿。秘書からの情報をもとに、地元の雨は「山を越えた」と書き込んだ。

・西村氏は7日にも物議を醸す。「自衛隊員約2万1千名が人命救助など活動中」とツイートしたが、実際には待機態勢だった。

 西村氏は官房副長官という役職だけでなく、かつて「命を守る防災・危機管理」という本を出しているから余計に酷さが際立った。

 何よりこの問題で私がヤバさを感じたのは、嬉々として「安倍首相との近さ」をSNSで報告していた姿である。有権者へのアピールだろうか。しかしその有権者の多くは雨を心配していたのだ。この想像力の欠如はヤバい。

首相の外遊中止の理由にギョッとする

 最後に私が今回ギョッとした記事をあげよう。安倍首相の外遊中止について書いた読売新聞の記事である(7月10日)。

©文藝春秋

 首相周辺の人物が外遊中止の理由を読売に語っていた。

《内閣支持率が持ち直しつつある中、総裁選をにらむ首相は「このタイミングでの失点は避けたい」(首相周辺)との心理が働いたとみられる。》

 外遊中止は陣頭指揮をとるためかと思ったら「このタイミングでの失点は避けたい」という理由らしい。

 首相周辺がこのようにコメントしていた。かなりギョッとした。

 さて、ここまで話題となった赤坂自民亭の次回開催はいつだろうか。小渕優子氏が「若女将」というが、「女将」に格上げはあるのか。そのタイミングも追っていきたい。

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