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日韓合同アイドルオーディション番組「プロデュース48」 懸念されていた日韓の実力差のゆくえ

AKB48とのコラボは「渡りに船」だった?

2018/07/27
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 なんと無謀な――。

 最初はそう思った。

 6月15日から日韓で放映されているアイドルオーディション番組「プロデュース48」のことだ。

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PRODUCE48の公式ホームページ

「プロデュース48」は、韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」が企画・放映しているオーディション番組「プロデュース101」と日本のAKB48とのコラボレーション企画。2016年と17年に放映された「プロデュース101」「同シーズン2」はケーブルテレビにもかかわらず5.2%という高い最高視聴率をたたき出し、大ヒットとなった。今回はその第3弾だ。

視聴者投票によってデビューが決まる

 番組には、日韓それぞれのアイドルや練習生96人が参加し(第一回のサバイバル投票で現在は58人)、さまざまなパフォーマンスを繰り広げながら国民プロデューサー(視聴者)の投票により最後まで残った12人のメンバーが期間限定アイドルとしてデビューできる。

 投票は、番組スポンサー会社に会員加入することが前提条件となっているため、韓国で本人名義の携帯がない場合は投票が難しい。つまり、投票する人のほとんどは韓国人で、一度に12人に投票する仕組みになっている。2016年には、11人の女性グループ「I.O.I」(2017年1月解散)、17年には11人の男性グループ「Wanna One」(2018年末解散予定)がデビューを飾った。

日韓の実力差を懸念する声も……

 日韓コラボということもあり、放映前から「すでにデビューしているAKBのメンバーは知名度もあり、韓国のデビュー前の練習生には不利だ」や「日本の学芸会のようなアイドルと苛酷な練習をしている韓国の練習生では実力が違いすぎる。競争にならない」、「日本との合作=右翼番組ではないか」などといった雑音が飛びかった。

 正直、そう、無謀だろうと思ったのは、日韓のアイドルのコンセプトの違いだ。

 米国でも人気がある「防弾少年団」然り、韓国のアイドルは自国の狭い音楽市場という事情もあって、デビュー前から海外進出を視野に入れた実力重視のいわばアーティスト。なにより実力ありきだ。一方、AKB48は、「会いに行けるアイドル」がコンセプトで、かわいらしく、親しみやすさがアイドルの絶対条件。そもそも求められるアイドル像が激しく異なる。

AKB48新Kチームのパフォーマンスの様子 ©時事通信社

 韓国で初めてAKB48の公演が放映された2010年には、韓国の知り合いからは「AKB48って芸能人ではなくアマチュアグループだよね?」や「日本はあんな子供のようなアイドルが人気なのか?」と聞かれたり、「あれが日本の実力かと思われるのは心外。恥ずかしいから韓国で公演しないでほしい」と話していた在韓の日本人もいた。