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連載近田春夫の考えるヒット

「キンプリ」の歌い方にジャニーズ伝統の哲学を感じた――近田春夫の考えるヒット

2018/08/02

シンデレラガール(King & Prince)/SUMMER LOVE(MAG!C☆PRINCE)

絵=安斎肇

 今日の「グループアイドル」全盛の裏事情というか、その土台を支えるのに大きく貢献しているといって構わぬのが、“応援力”とでもいうべきパワーの存在ではあるまいか?

 いやいや、アイドル商売とは昔からそういうものだった、応援合戦など別段目新しいことでもなんでもないぞと。なるほどそれはそうともいえる。のだが以前との絶対的な違いがある。この時代にアイドルとは、ほぼ“グループ”である点である。前にも書いたと思うが、ソロで活動しようとする少年少女のデビューなど、今やもはやほとんど無きに等しき! の状態なのである。

 先のワールドカップの盛り上がりを思い起こすまでもなく、スポーツ観戦においては、個人競技より団体ものの方が見物の熱狂を募り易い。

 専門家でもない俺には、そこのところの心理についての説明は絶対無理、不可能だが、現象的には同じことがアイドルにも当てはまる筈である。

 そして。実際これだけの数のグループが活動をしている。ならば、それぞれを応援する人的エネルギーの総量とは如何ばかりか。過去いずれの時期と比べてみても、桁外れな数値になっていると思うのだ。それはそれは、ものすごーい“エナジー”と化しているように、俺は思うのである。

 ただ、一方同時に、かかる状況が、ますますアイドルを、なによりも“勝ち負け”の競い合いを第一義とする、音楽家というよりはむしろアスリートに近いメンタリティを有する業種に——その善し悪しはともかく——シフトさせてしまっているようにも思えてならぬ時が、ない訳ではない。

 といって、彼ら/彼女らの歌わせられている楽曲のなかに、そうした傾向の影響を見出せるのかというと、そこはも少し時間軸的にでも検証していかないとまだわかんないっすけどね。って、そもそも大体、そんな検証やる義務も必要もねーよ俺にゃ!(笑)

シンデレラガール/King & Prince(ユニバーサル)ジャニーズ事務所のもっとも新しいアイドルグループ。初週売上げは57.7万枚。

 いずれにせよ、アイドルたちに求められるもののうち、歌以外の部分にかかる比重が、増大し続けているのは間違いない事実だとは思う。おっと、なかなか本題に行けず失礼。King & Princeであった。

 5月発売だが、よく売れているというので、編集が是非やりたいと。意図としてはもう一枚がMAG!C☆PRINCEでこれも6月下旬発売なのよね。要するにプリンスつながりという、まぁネタってやつでしょう。

 さて『シンデレラガール』を聴き思った何よりは、ジャニーズ事務所に連綿と受け継がれてきたものの継承はちゃんとなされているな、という安心であった。具体的には歌い方だ。斉唱する際に、なんだかいい具合にばらけているというか……パッと聴き「あ、上手い!」とはならず、むしろほのかな人間味をさえ実感させてくれる。わたくし、この有機的味わいこそ、フォーリーブス以来の、事務所伝統の芸風/哲学ではありますよな、と思うものなのであった。

SUMMER LOVE/MAG!C☆PRINCE(ユニバーサル)名古屋・東海地区を地盤に着々とファンを増やしてきているという。

 MAG!C☆PRINCE。

 健康的な世界に仕上がった。

今週の老婆心「最近ものすごい暑さが続いているね。テレビでも新聞でもうかつに外に出るな、ヘタに運動すると死ぬぞと繰り返し注意しているけれど、誰ひとりとして甲子園の高校野球を中止すべきだといわないよね」と近田春夫氏。「死者を出して週刊誌に攻撃されることのないよう、主催新聞社さんにはくれぐれもご注意くださいますよう申し上げます」

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