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連載歴史・時代小説の歩き方

大矢 博子
2015/06/20

うちら妖気なかしまし娘
――天下を分けた浅井家の姉妹ゲンカ

genre : エンタメ, 読書

 映画『イニシエーション・ラブ』がヒットして、乾くるみさんの原作小説にもまた注目が集まってますね。原作『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)には私が解説を書かせていただいてまして、そのご縁で映画にも実はちょっとご協力させていただきました。

 でね、私、地元名古屋のラジオで新刊紹介のコーナーを持ってるんですが、先日、番組パーソナリティの男性アナウンサー(60代)から、『イニシエーション・ラブ』の最後のアレがわからないと解説を求められまして、コーナー前後のCMの間、ずっと説明してました。CM終わったのに気づかず、あやうく生放送で大々的にネタをばらしちゃうとこでした。危ない危ない。災難なのは一緒にいた女性アナウンサーで、小説未読なのに上司に逆らえず、全部聞かされたというね。ごめんね。えへ。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

乾 くるみ (著)

文藝春秋
2007年4月10日 発売

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 ところで最初に小説が出た時、周辺の反応でちょっと気になってたことがあるんです。具体的には書きませんが、ある部分を指して「女は怖い」という感想が少なからずあったのよ。でもさ、それ違わない? その人物のその行為が怖いんであって、女が総体で怖いわけじゃなくない? なぜ一例を一般化するのかなあ。ほんと男ってバカ(あれ?)。

 というわけで今回のお題は「怖い女」です。歴史時代小説で怖い女っていうと……真っ先に浮かんだのが、浅井三姉妹。茶々(淀)、初、江ですね。もちろん他にも北条政子とか日野富子とか、いわゆる烈女・悪女といわれる人はいるけれど、リアルな怖さはやっぱ浅井三姉妹だと思うの。身近でイヤミス的な怖さというか。

 と来れば大河ドラマ『江 姫たちの戦国』を連想する人が多いだろうけど、あの宮沢りえ・水川あさみ・上野樹里の三姉妹はぜんぜん怖くない。怖いどころか可愛いくらい。だって大河ドラマ史上にはもっと強烈・凶悪な浅井三姉妹がいたんだもん。

【次ページ】大河ドラマ史上、最も怖い浅井三姉妹は

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