昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載50年後の「ずばり東京」

野村 進
2016/11/28

50年後の「ずばり東京」第五回
女子が神社を目指す理由

御朱印を集め、参拝作法も完璧。 彼女たちがすがるものは?

source : 文藝春秋 2016年12月号

genre : ライフ, ライフスタイル

野村進氏

 改札を出る前から、不思議な「流れ」のようなものを感じていた。

 JR飯田橋駅の西口に出ると、その流れはもうはっきりと目に見えるものに変わった。

 相当な数の女性たちが、同じ南東の方角を目指して歩いていく。彼女らがつくる流れは、やがてビルの谷間の一角に吸い込まれていった。

 初めて「東京大神宮」を目の当たりにしたときには、いささか拍子抜けしたものだ。もっと広大な敷地の、もっと威容をほこる神社を想像していたのである。それとは対照的な「こぢんまり」「こざっぱり」「こぎれい」といった形容が似合うところとは思ってもみなかった。

 日曜日のまだ朝十時過ぎなのに、参道には早くも行列ができている。その数、二十名あまり。全員が女性、それも一見したところ二十代から三十代前半にかけての女性たちである。

平日の昼間から行列が出来る

 土日や休日には、なんと二、三千人もの人たちが、都心の裏通りにある、このさほど目立たない神社を訪れる。

「何かをきっかけに一気に増えたわけではなくて、少しずつゆっくりという感じなんですよ」

 権宮司(ごんぐうじ)の松山幾一(きいち)さんは振り返る。

「私が子どもだった三十年ぐらい前は、お正月でもあまり人がいない神社だったんです。境内でたこあげができたくらいですから。ところが、いまはお正月には(参拝までに)二時間、ときにはそれ以上になることもありますから。とくに女性が増えたのは、ここ二十年ぐらいでしょうかねぇ。それが年々増加傾向にあります。北海道や沖縄、最近では台湾や中国からもみえますよ」

はてなブックマークに追加