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闘病中でも絶好調 元中日・大島康徳さんの解説が面白すぎる理由

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/18
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大島さんが試合前にトスを上げた相手

 大島さんは誤解されていることが多い。現役時代は中日と日本ハムで通算382本塁打を放ち、本塁打王も獲得した。2000年から日本ハムで監督を3年間務めたが優勝には届かず、その間に退場処分を3回も経験していることもあって「豪放磊落(らいらく)」「暴れん坊」というイメージが定着してしまったように思う。

 しかし、その実は緻密で、細かいところまで目が行き届き、豊富な経験から打者心理、投手心理、そして監督心理まで読み解くことができる野球人。それが大島康徳だ。

現役時代の大島康徳さん ©時事通信社

 解説を務めた11日の試合前には、こんなこともあった。中日の埋もれた大器・堂上直倫に打撃練習でトスを上げたのだ。知っての通り、堂上の父・照さんは元中日の投手で、大島さんとはチームメートだった。

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「彼が小さいころから知っている。このまま埋もれてしまってはもったいないし、個人的に気になる選手だから、しゃしゃり出てしまった。打撃コーチには後から謝りました」

 数日前まで原因不明の発熱で体調を崩していたにもかかわらず、元同僚の息子を思う大島さんに、涙腺が弛んだ。堂上はこの試合の7回に代打で出場し、チームの7点目となる犠飛で、その気持ちに応えた。

 大島さんは闘病中の身である自分と向き合いながら、野球と家族にすべての情熱を注いでいるのだと思う。それが凄味のある解説や、元同僚、選手への愛情の深さに表れている。こんなことを書くと、また「オレを病人扱いするなと言ってるだろ!」と怒られそうだが、もっともっと元気になって、もっともっともっと野球界、そしてドラゴンズのために尽くしてほしい。お願いしますよ、大島さん!

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