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「応援大使」が生んだ、北海道の町とファイターズの選手との深い縁

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/22
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チームを去った後も続く地域との絆

 選手もこの役割を大切に思っています。

 今季ファイターズに戻ってきた鶴岡慎也選手は2013年のオフにFAでホークスへ。鶴岡選手はその年は弟子屈町の応援大使だったのですが、訪問イベントは辞退しました。実はそのことをずっと気にしていたそうです。今年は鶴岡選手は江差町の応援大使ですが、もしかするとこのオフには江差町に加えて弟子屈町との交流を取り戻すこともあるかもしれません。

2013年は弟子屈町、今年は江差町の応援大使を務める鶴岡慎也 ©文藝春秋

 2014年の開幕直後にスワローズへのトレードでチームを去った今浪隆博選手はその時、新十津川町の応援大使でした。球団から発表されたトレード時のコメントには「……今年は新十津川の応援大使を務めている最中でしたし……」というフレーズがあり、思い入れが強かったことがその当時でもとてもよくわかったのですが、今浪選手と新十津川の絆はその後もずっと続いていました。

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 昨年限りでプロを引退した今浪さんが「2月に北海道行くんで……」と連絡を下さってラジオのスタジオにも来てくれたのですが、来道の一番の目的は新十津川町でのトークショーや野球教室でした。そこには引退して新しい道に進む今浪選手を元気づけようという町の思いもあったようです。

新十津川町の応援大使だった今浪隆博 ©文藝春秋

 そして、2016年限りで引退の武田勝投手。今やBCリーグ・石川ミリオンスターズの監督ですが、現役時代は4つの市町村で応援大使を務めました。そのひとつ、上ノ国町の道の駅で勝投手は町で生産されているオカリナを購入。いつかお立ち台でそのオカリナを吹くという公約を番組でしてくれて、約束は最後の最後に札幌ドームの引退セレモニーで果たされました。後日、さらに立派なオカリナが勝さんに届いたのを見せて戴きました。そのオカリナも今は石川に一緒に行っているはずです。まだ演奏は披露はされていないようですが、勝さんのことです、虎視眈々とそのチャンスをうかがっているでしょうね。

現在、BCリーグ石川監督の武田勝 ©文藝春秋

 12球団で一番の広さを背負っているファイターズの選手たち。「気持ちのある応援」を乗せてふんわり包み込むように応援したい。終盤戦、苦しい試合の時こそ、そんな風に思います。

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