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「パナマの怪人」ズレータが福岡に帰還! 記憶に残るあの場面

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/31

 フリオ・ズレータが福岡に帰ってきた。

 覚えているだろうか? 「パナマの怪人」の異名をとった、あのとんでもない放物線を。2005年に43本塁打を放つなど、ダイエー・ソフトバンクに在籍した3年半で通算122発ものアーチを架けて、僕らを何度も何度も驚かせてくれた。

 また、2007年から2年間は千葉ロッテマリーンズでもプレーした。こちらでの成績は振るわなかったが、移籍初年度の開幕戦でダルビッシュ有から同点満塁本塁打を放ったシーンはすごく印象的だった。

 そう、成績も凄かったが、とにかく心に残るプレーヤーだった。

「パナマの怪人」ことフリオ・ズレータ ©文藝春秋

報道陣をざわつかせた「デカい」男

 8月26日、ホークスの球団80周年を記念する特別試合「レジェンドデー」のゲストとしてヤフオクドームにやって来たのだ。同時期に「負けないエース」として活躍し2度の沢村賞にも輝いた斉藤和巳氏とともにセレモニアルピッチやトークショーも行った。

「福岡に来たのはロッテに在籍していた時以来だから10年ぶりくらいだね」

 だから、こちらも10年ぶりの再会だ。驚いたのは体型。現役を引退して幾年か経つが、全然太ってない! 足はほっそりしたが、上半身の筋肉はムキムキのままだ。「トレーニングは続けているんだ」。なんでも、福岡滞在中もホテルにトレーニングジムがあるところを希望したとか。グラウンドでの試合前練習にも顔を出したズレータを見かけた柳田悠岐は「ヤバッ! まるでウサイン・ボルトやないですか」と目を丸くしていた。確かに、なかなか上手い例えだ!

 そして、もちろん記憶していたけど、改めて会うとデカい!

 斉藤和巳氏も身長が192cmもあって小顔のモデル体型なのだが、なかなかどうしてズレータも負けず劣らずのスタイルだ。プロフィールを調べ直すと身長197cmなのだが、それ以上に大きく感じるのはその為だろう。

197cmのズレータと192cmの斉藤和巳氏 ©田尻耕太郎

 初めてズレータと会った日のことは今でも鮮明に覚えている。2003年6月23日、福岡ドーム(現名称はヤフオクドーム)。現在も使用されている三塁側のプレスカンファレンスルームで行われた入団会見だ。

 我々記者は当然ながら選手の到着よりも早く席に座って待っている。プロフィールは事前に調べており、相当な大男が来ることはみんな分かっていたはずだが、扉からズレータが入ってきた瞬間にみんな「うわ、デカ!」「マジか」とざわざわし、なぜか驚きのあまりに笑い声も起こるなど妙に盛り上がったのだった。あれから15年経つが、そんな会見はあの時だけだ。

 当時のダイエーは「ダイハード打線」と呼ばれた超攻撃的野球の時代。松中信彦、城島健司、井口資仁、ペドロ・バルデスが「100打点カルテット」を形成し、チーム打率が今もプロ野球史上最高記録の2割9分7厘を記録した。しかし、オープン戦で小久保裕紀が右膝を大怪我してシーズン絶望で、右の強打の三塁手を補強すべく獲得したのがズレータだったのだ。

 しかし、蓋を開けてみると「三塁はちょっと……。外野ならば」というではないか。あれ、話が違うぞ……。誰もが首を傾げつつも、入団日の夜の日本ハム戦に「8番ライト」で出場したのだった。