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ドンの指示は「石破をやれ」 竹下派が石破茂支持に動いた真の狙いとは?

領袖として初の総裁選 ©共同通信社

 自民党の竹下亘総務会長(71)が率いる竹下派が、安倍晋三首相が描く総裁選戦略を少しずつ狂わせ始めている。

 首相は石破派以外の全派閥の支持を取り付け、党員による地方票でも完勝しての「圧倒的勝利」を目指してきた。

 岸田文雄政調会長が7月24日に不出馬と首相支持を表明したところまで、その戦略は順調に進んでいた。

 ところが28日、産経新聞が一面で「参院竹下派、石破氏を支持」と報道。読売や朝日も、翌日後追いした。

「竹下氏は元々、本心では石破氏を応援したかったはず」とは党職員。石破氏の党幹事長時代、竹下氏は部下の党組織運動本部長で「よく幹事長室に来ては仲良く話していた」(同前)というが、それだけが理由でもなさそうだ。一体何があったのか。竹下派秘書はいう。「参院のドンが動いた」。ドンとは、青木幹雄元党参院議員会長。政界を引退してもなお、参院自民党に強い影響力を持つ。青木氏は25日、新たなドンに成長しつつある吉田博美党参院幹事長に「石破をやれ」と指示。山口県生まれで心情的には安倍シンパの吉田氏も「青木さんを無下にはできない」と参院竹下派を石破支持でまとめに走った。

 竹下派中堅議員が解説する。「5大派閥の4つが安倍支持を打ち出した後で支持しても、首相にとって有難味は薄く、総裁選後の組閣へのアピール度も低い。ならば狙いは“次の次”。6年前に大勝しているから来夏の参院選はどうしたって議席減。その瞬間からレームダックが始まり、必ず“安倍降ろし”が起きる。そこで主導権を握る布石です」

 竹下氏の異母兄・竹下登元首相の秘書を務め、その手練手管をみてきた青木氏は、さらに動いた。山崎拓元自民党副総裁に指示を明かしたのだ。「口の軽いヤマタクさんなら、絶対に記者に漏らすと思ったのでしょう」(政治部記者)

 目論み通り、「竹下派は石破」だと急速に広まり、首相側近は慌てて事実関係を確認。間違いないと分かると、すぐに参院竹下派のある幹部に連絡し、来夏の参院選での刺客擁立を仄めかす一幕もあった。

 たとえ参院側は石破氏でまとまっても、衆院側は茂木敏充経済再生担当相や加藤勝信厚生労働相ら安倍支持派が多い。額賀派から竹下派に「大政奉還」されて初の総裁選。8月8日に予定する臨時役員会で決断するというが、果たして「一致結束箱弁当」が伝統の竹下派をまとめきれるか。