昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載尾木のママで

急げ、学校の熱中症対策 教室の「望ましい温度」17〜28度に変更で一歩前進

尾木のママで

2018/08/02
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 今年の猛暑、気象庁は「災害」級、と表現したわね。搬送者二万二千六百四十七人、死者六十五人(七月二十四日総務省発表)とはまさに異常事態! 温暖化のスピードに、人の意識も設備整備も追い付いていないのが現状ね。

 学校での事故も見過ごせない。愛知県で校外学習直後に亡くなった小一男子、練馬区の高校のエアコンのない体育館で外部講師による詐欺被害防止の講演会中に体調を崩した生徒たち、宮城県の小学校の校庭で人文字の空撮後、体調不良で搬送された児童たち。

 いずれも「意義のある教育活動」中だった。教師が暑さを理由に学校行事の中止を判断するのは難しい。教育界では“暑さ、寒さに耐えてこそ”みたいな精神論がいまだ健在。でも学校や教師にとって最優先すべきは「安全配慮義務」。命より優先すべきものはない。熱中症予防が目的の「暑さ指数(WBGT)」という国際基準の活用も広がってきたけど、学校でこそ活用してほしい。

 今年四月、文科省は約五十年前に設定以降初めて、教室の「望ましい温度」を「十〜三十度」から「十七〜二十八度」に変更。これは一歩前進ね。でも、全国の公立小中学校のエアコン平均設置率は四九・六%。東京都が九九・九%なのに比べ一割前後の県もあるなど、地域間の「エアコン格差」は大きい。体育館への設置率はわずか一・二%(二〇一七年四月)。愛知県では今年度、六十七校の空調交付金を国に申請したのに全て不認可。文科省は一般的には建物の耐震化が優先されると言っているけど、冷暖房設置もまた急務。天災の際、地域の学校は避難所になる。予算は必ず確保してほしい。

 政府は夏休みの期間延長、クーラー設置支援を検討する考えを示したわね。秋口は運動会を予定している学校も多いし、こちらも見直し通知を出してほしい。子供たちの命を最優先にした策を講じたい。