昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

「人事権はあなたでなく俺にある」 麻生太郎氏に振り回された財務次官人事

「一連の問題を真摯に反省」と語るが…… ©共同通信社

 麻生太郎財務相は7月27日、財務省の幹部人事を発表。事務次官に就任したのは、森友問題で責任を問われた岡本薫明主計局長だった。

「麻生氏の本命は浅川雅嗣財務官でした。浅川氏は麻生政権で首相秘書官を務めた“懐刀”。麻生氏は『省内刷新の目玉が彼だ』と言ってきた。国際畑の浅川氏は次官コースの主計局長などを経験しておらず、従来の予定調和人事を崩す形です」(麻生氏周辺)

 5月の時点で浅川次官の構想を安倍晋三首相に伝えていた麻生氏。首相も「人事は任せます」と返した。

「産経が6月2日、星野次彦主税局長を次官に据えると打ちました。ただ、酒癖の悪さや女性問題が囁かれ、麻生氏も首相も『星野はない』と明言していた」(同前)

 6月中旬のある夜、麻生氏は歴代財務次官を招き、宴席を設け、浅川氏を同席させた。麻生氏はここで「浅川次官で行きたい」と伝えたが、場は静まり返っていたという。

「麻生氏に待ったをかけたのが、菅義偉官房長官です。財務省と衝突してきた菅氏ですが、麻生氏とは逆に、再建には官僚機構の秩序を取り戻すしかないと考えた。次官OBらも古谷一之官房副長官補を通じ、官邸側に岡本次官の意向を伝えている。結果、菅氏は次官を岡本氏から太田充理財局長(現主計局長)に繋ぐ絵を描きました」(官邸関係者)

 一方、麻生氏は首相から北村滋内閣情報官らの情報として、浅川氏の女性を巡る問題に懸念を示されたという。

「麻生氏も最後は首相の意見を受け入れました。7月に入り、浅川氏と今井尚哉首相秘書官と3人で会食し、官邸側と一応の“手打ち”もした。浅川氏は来夏の大阪G20まで財務官を続投しますが、産経が7月7日、浅川氏退任と報じたことに麻生氏が激怒する一幕もありました」(同前)

 官邸と財務省主流派の結託に敗れた形の麻生氏だが、

「首相秘書官の中江元哉氏を、“軽量ポスト”の関税局長に据えました。首相は田中一穂元財務次官ら自身の秘書官を出世させてきた。中江氏は首相の評価が低かったとはいえ、麻生氏の抵抗が垣間見える人事です」(同前)

 記者から「今回の人事はベストか」と問われ、「人事権はあなたでなく俺にある」と皮肉った麻生氏。その表情に苛立ちは隠せなかった。