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ボクシング・山根明会長の溢れんばかりの「自己愛」

臨床心理士が分析する

2018/08/07

 それにしても印象が強烈だ。紋付袴姿の写真やら白っぽいスーツ姿だけでもインパクト大なのに、着メロは「ゴッドファーザー愛のテーマ」、決め文句は「男 山根明 逃げも隠れもせん」。これは面白そうな発言が聞けるかもと期待していたら、入院を理由に全国高校総合体育大会のボクシング開会式を欠席。

欠席も話題となった日本ボクシング連盟の山根会長 ©共同通信社

「なんだやっぱり口だけか」と思いきや、続けざまにテレビ番組に出演。告発状を提出された日本ボクシング連盟の山根明会長は、サングラスをかけたままの個性的な服装で、言いたい放題ぶちまけたのだから驚きである。

偉い自分をリスペクトしろという無言の圧力

 大勢の記者たちに囲まれるような形の会見ではなく、テレビ番組への生出演を自ら希望したのは、その方が相手をコントロールでき、話を自分のペースにもっていきやすいからだろう。支配欲求が強く、気に入らなければ場を圧力で制しようと、大声を出したり睨みつけて威嚇する。大声を出すのは、偉い自分をリスペクトしろという無言の圧力でもある。

山根明氏

 グローブ販売に孫の口座を使用した件では矛盾した答えではぐらかし、助成金の不正流用では精神論や感情論に訴え、「時計を売って工面した」と自分がまるで被害者のように話す。時には凄み、時には笑顔を見せてアメとムチを使い分けるのも、相手を支配する方法だ。

 告発文は「すべて嘘だ」と言い切り、矛盾があろうと意にも介さず、インタビューに応じる山根会長の言動からは、世間に自分を認めさせたい、「すごい人物!」と言わせたいという承認欲求の強さを感じるだろう。

 それは彼の言動のあちこちに、溢れんばかりの自己愛が見えてくるからだ。自分のことを「山根明会長」と連呼するのは、自分のことを重要で特別な人物だと誇大に信じており、周りから支持されていると過信しているからだ。自らを「カリスマ山根」と言うのも、そこまでに至っていないという現実に不満があり、それぐらい過剰に賞賛されて当然と思っているからだ。

 だが、こういう人物には、ある種、人を引きつける魅力や力があるのも事実だ。

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