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小説家・津村記久子の日常「渋めの探偵ドラマをずっとつけっぱなしで本読んでます」

テレビっ子作家・津村記久子インタビュー #2

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 かつて「女の人とは海外ドラマ、男の人とは海外サッカーの話をすれば良い」と書いた作家・津村記久子さん。忙しい執筆の合間に膨大な量のドラマとサッカーを観ているようです。中編では津村さんが大好きだという『コールドケース』や『LAW&ORDER』から、サッカーを観るのに欠かせない「DAZN」の話までてれびのスキマさんが伺います。(全3回の2回目/#1#3はこちら)

 

“観なくなる”くらい『コールドケース』好き

―― 会社員を経て専業作家になられた後、海外ドラマを観るようになったそうですが、どんなものを観てきましたか。

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津村 突然ものすごく時間が手に入ったような気がして戸惑いがあって、なんか趣味を増やそうと思って、当時開局したばっかりの「Dlife」でやってる刑事ドラマを突然全部観始めたんです。好きやったのは『クローザー』、その後の『Major Crimes 重大犯罪課』も観てる。あと『コールドケース』がすごい好きで。なんかもう“観なくなる”くらい好きだったんです。うまく言えないですけどわかります?

―― なんとなく(笑)。

津村 シーズン7だけはツラい時のために置いとこうみたいな。それくらい『コールドケース』は好きですね。

―― 日本のドラマはあんまり観ない?

津村 観ないですね。でも『相棒』とか水曜のあの枠のドラマは好きなんです。連続ドラマは一回見落としちゃうとわからなくなる。だから1話完結の刑事ドラマが好きで。ただ1話完結のドラマってなるとどうしても海外ドラマが多くなるんです。

ミステリー専門チャンネルのドラマは観尽くした(笑)

―― 短編の「地獄」(『浮遊霊ブラジル』所収)では、1日ドラマを最低3本観て、ドキュメンタリー1本観て、映画を週3本観て……という主人公が「飽・物語の罪」で「物語消費しすぎ地獄」に落ちるという話がありますね。

津村 私もあんな感じですよ。今は1日3本までは観られないですけど。だいたい観つくしたので(笑)。「AXNミステリー」(ミステリー専門チャンネル)に入ってるんですけど、もうほとんど観たみたいな感じ。新しい番組があると食いついて、一生懸命録画して観るんですけど、何してるんやろうなって思うときがありますね。

「Hulu」とかならもっと手軽に選んで観られるんやろうなって思うんですけど、選ぶのが面倒で、やっぱりテレビで流れてくるものを録画してる。でもテレビを受動的に観てたら自分の好きな話が観れないかもしれないって、最近気づきましたね。2週間前くらいに。

―― 最近!

津村 めっちゃ最近(笑)。それで最近はもう読書に戻ってます。本ならあらすじから選べる。だから本は早いなって気づいて。でも「AXNミステリー」は、入った時はものすごい興奮でしたよ。知り合いの女の人たちの間で『SHERLOCK』がすっごい流行ったんです。あと女の人はだいたい『LAW&ORDER』か『クリミナル・マインド』を観てるから、社交の一環として話します。