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連載近田春夫の考えるヒット

EXILEを聴いてわかった、J-POP人気を支えていてるのは「作品」ではなく「人」――近田春夫の考えるヒット

2018/08/21

STAR OF WISHEXILE

絵=安斎 肇

 EXILEが3年ぶりに出したアルバムは、全14曲と相当にボリューミーではあるが、ネット上の広告宣伝物などにチラリと目をやるだけでもメンバーの気合十分といった様子は充分に堪能/窺い知ることができるので、お試しで是非検索などをしてみてほしい。いや、気合もさることながら、こりゃあ金も相当かかってるワ! という部分もきっと観る価値はあると思うし……。

 ところでこのページには、担当の若者が資料やら解説を書いて添えて、CDとともに送ってきてくれるという習わしが連載の第一回から変わることなく続いてきた。その伝統?にもついに変革の時はやって来たようだ(笑)。

 といいますのも、今週届いた荷物に入っていたのは――そこに至る経緯は知りませぬが――週刊文春随一のLDHファンとして編集部にその名を轟かせておられるという、担当とは机を並べる間柄の、S氏の談話記事だったのだ。

 最初はそんなことにも気付かず、なんだかどうも文体の様子がいつもと違うなぐらいに思っていたのだが、これが読み進んでいくうち、jpopを支えるものとは一体なんなのか? といった“本質”が透けて見えてくるような、なかなか示唆に富んだ記述である。そこであらためてアタマから読み直し、はじめて話し手の存在を認識した次第の俺ではあったが、さてはその記事の書き出しだ。〈今回出たアルバムは、EXILEが新章に入る、エポックメイキングな一枚〉とある。

STAR OF WISH/EXILE(AVEX)

 いずれにせよ“エポックメイキング”は只事ではないだろう。何かよほど画期的な音になっているに違いない。これは早速聴かねばと思いつつも、気を取り直し、落ち着いてよく読むとまったくそういうことではなかった。

 すなわちEXILEの一家におけるヒエラルキー的な頂点にある者たちと、そのなかで(いってみれば)最下層的存在ともいえるグループが、コラボレーションを行なったり〈EXILEの幹から枝分かれしていった後進チームたち〉と絡んでみせたりと、要するにこれまでにはあまり見られなかった“人事的”展開がここにはあるのだぞと。エポックメイキングとは、それらを称してのことらしいのだ。

 S氏の話は、TRIBE/FAMILYとしてのEXILEの熱き結束の素晴らしさにほぼ終始して、『STAR OF WISH』のアルバムとしての音楽的魅力などには結局殆ど触れず仕舞いである。その意味とは?

 そこで、先に書いた“jpopを支える本質”の話になるのだが、それは決して作品ではなく、人であり、またはその人にまつわる物語だということで、これはたとえば文学界などでは、あまり起こりえないことだろう。いつもモヤモヤとしていたことが、今週少しスッキリと腑に落ちました。

 おっと! 試聴しての感想だが、M12の、音はすげーカッコいいクセに、歌詞が妙に日常的というこのバランスに、私は何故か大変な新鮮さを覚えたものである。

STAR OF WISH/EXILE(AVEX)
LDH筆頭グループEXILEの3年ぶりの新アルバム。若手グループFANTASTICSメンバーのガン闘病を応援するTurn Back Time(M4)、後輩グループEXILE THE SECONDボーカルと組んで4人ボーカルのHeads or Tails(M7)、歌詞が妙に日常的な印象のKi・mi・ni・mu・chu(M12)、またATSUSHIのアメリカ留学からの復帰など、LDHファンの胸を熱くさせるエピソード盛り沢山な一枚。世界的な潮流をキャッチアップした音も必聴。

今週の何も言えなくて…夏「毎日暑くてさ、頭働かないよね」と近田春夫氏。「………」