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会社と地位に「しがみつくおじさん」たちの悲しい末路

2018/08/16

 日本ボクシング連盟の山根明前会長や日大の田中英寿理事長の「田中・山根コンビ」のスキャンダルが世間の関心を集めている。ごうごうたる非難を浴びながらも、恋々と、権力に固執する姿には、呆れるばかりだ。山根氏は退任を発表したが、「妻から『私がどういうことがあっても会長を死ぬまで面倒見ていくから今、楽になってください』と言われて、腹が決まった」という趣旨の発言に、噴き出さずにはいられなかった。「男山根」と強がりながら、「妻に面倒を見てもらう」ことに何の違和感も感じていない様子がなんとも喜劇的で、徹頭徹尾、「ちゃぶ台返し」の昭和のおやじキャラのようである。

山根明氏 ©時事通信社

「三種の神器」を失いたくない

 こうした「しがみつくオジサンたち」は、経済界にも政界にも山といるが、働き続けなければならないほど金銭的に困っているわけではないだろう。仕事など辞めて、趣味でもなんでも、悠々自適、自分の好きなことを楽しめばいいのに、と思うのだが、そうもいかないようだ。

 アメリカなどではある程度の成功を収めたエグゼクティブは、退職後、その有り余る財産で、慈善事業にいそしみ、名誉欲を満たしたり、贅沢なリゾートライフを送ったりと、人生のもう一つのステージを楽しむが、日本では、そういった華やかなリタイヤメントライフの話を聞くことはあまりない。代わりに、相談役や顧問、財界活動などを通じて、何とか一年でも長く「現役」を続けたいと思う人が多いようだ。ある調査によれば、1071 社中、62.4%にあたる668社が相談役や顧問制度を設けており、30人以上の顧問や相談役を抱える企業もあった。報酬だけが目的ではなく、「黒塗りの車」「秘書」「個室」の「三種の神器」を失いたくないという動機もあるらしい。

©iStock.com