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社会現象『カメラを止めるな!』と『セーラー服と機関銃』 長回しワンカットの深い世界

2018/08/26

『カメラを止めるな!』が大ヒット公開中です。製作費が約300万円の低予算映画。6月23日に都内の2館で封切りとなった後、口コミで注目を集め、現在は全国で順次150館と拡大上映中です。口コミでは、本作をオススメする人々が、徹底的にネタバレだけは避けた形であったのも特徴的でした。日本のインディーズ映画でここまで大ヒットとなるのは稀なことです。出演しているのも、本作まではほとんど知られていなかった無名の俳優たちなので、キャストを支持するファンは、劇場へ足を運んだリピーターが主なはず。

©ENBUゼミナール

 この映画がそんな熱狂を生んだのは、足をすくわれるようなサプライズがあり、それがさほど映画鑑賞を頻繁にしない観客にも仕組みがわかりやすかった、設定の巧みさでしょう。またネタバレを自主的に避ける口コミも、「この謎めいた映画をとりあえず観てみよう」という一般客を集める宣伝として、とても効果をあげたのもわかります。映画自体も、後半になるにつれて編集が間合いを詰めたテンポになっていくので、見終わる頃にはパズルを解いたようにすっきりする、よく出来た映画を観たという後味が残ります。

「原案」「原作」をめぐる騒動も

 そういった設定への高い評価もあり、8月21日には原案者としてクレジットされている舞台脚本・演出家の和田亮一氏が、「原作」クレジットにするようあらためて主張したことも注目されました。そんな騒動になるのもわかるほど大きく社会現象化した作品です。

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 映画は長回しワンカットのゾンビ映画という設定で始まります。グロ耐性の問題もありますが、ゾンビ映画としては激しいスプラッタ描写があるわけではないので、怖い映画が苦手な方でも大丈夫かも。映画の構成が面白いので、リピーターになる観客たちの気持ちもわかります。二度目の方が、映画の頭から整理して観られますものね。

 あまりストーリー展開については詳しくは書けないので、興味のある方はお早めに劇場へどうぞ。

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