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公取委員長が森・前金融庁長官を“嫌い”だった理由

2018/08/27
元財務次官で森氏の6期先輩 ©共同通信社

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と、長崎県を地盤とする十八銀行の経営統合問題。これまで長い間、“待った”をかけていた公正取引委員会が今月中にも統合を承認する見通しとなった。

「両行が統合で基本合意したのは、16年2月。当初は17年4月に実現する予定でした。この統合を監督官庁側で推進していたのが、森信親前金融庁長官です。福岡銀行や親和銀行を統合されてできたふくおかFGは地銀再編の優等生で、ふくおかFGの谷正明会長と森氏は昵懇の間柄でした」(金融庁関係者)

 その動きにストップをかけたのが、杉本和行委員長率いる公正取引委員会だった。

「長崎県内の貸出シェアが7割となり、独占禁止法に抵触しかねないと難色を示しました。結局、昨年7月に計画は無期延期に追い込まれた。統合推進の中心人物であった十八銀行専務が自殺する事件も起こっています」(同前)

 ところが今月に入り、両行から他行への債権譲渡額が1000億円弱に到達。長崎県内の貸出シェアが下がったことで、統合が一転、認められた。

「ただ、公取の杉本氏は、譲渡額が700億円規模まで積み上がった春先段階で、内々に認可する意向を示していたといいます。それなのに、なぜ認可が遅れたのか。森氏との確執が背景にあると見られています」(大手銀行幹部)

 とりわけ杉本氏が眉を顰めていたのが、森氏と菅義偉官房長官との親密な関係だ。

「森氏が“政治ルート”で強引に公取をねじ伏せようとしたことに、杉本氏は憤りを感じていたようです。森氏と近い金融庁参与が『時代錯誤の公取は、競争政策の立案と執行を分離すべき』と“公取解体論”にまで言及したことで、両者の対立は先鋭化していました」(同前)

 しかし森氏は7月17日付で金融庁長官を退任。その僅か2週間後、杉本氏はまるで図ったように統合にゴーサインを出したのだった。

 だが、コンコルディアFG傘下の東日本銀行で不適切融資が発覚したのは記憶に新しいところ。実は「長崎の経済が急速に縮小する過程で、地元トップバンクの十八銀行の財務内容も見かけ以上に劣化している」(地銀関係者)という。今回の経営統合がうまく行く保証はどこにもない。