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肺ガン検診で3度見落とし 自治体の格安検診に気をつけろ

 自治体が市民の健康増進のために行っている各種検診。無料か少額の自己負担で受けられるが、杜撰な検査で重病が見落とされる恐れもある。

 7月には杉並区の河北健診クリニックで実施された肺ガン検診で、3度にわたってガンを見落とし、40代の女性が死亡したことが発覚した。

「亡くなった女性は2014、5年に勤務先の保険組合の検査を同病院で受診したが、クリニックの医師は『異常なし』と判定してしまった。今年1月にも40歳以上であれば500円と格安な区の検診を受診するも、読影(画像診断)の専門医が不在のまま診断された。悪化を辿っていた病変はこの時も見過ごされてしまいました」(社会部記者)

謝罪する河北健診クリニック ©共同通信社

 また驚くべき事実も。

「同病院で14年以降区の肺ガン検診を受けた9424人のX線画像を放射線科医が再度調べた結果、44人に精密検査が必要との判定が下った。うち27人に肺ガンの可能性がある」(同前)

 同病院での区の肺ガン検診は粗雑なものだったという。

「年間約5000人があの病院で検診を受けています。1日に1人の医師でレントゲンを何十枚と読影する必要があり、現場には1枚1枚丹念に見る余裕などはなかったはず。さらにクリニックでは放射線の診断専門医が慢性的に不足しています」(病院関係者)

 病院を経営する河北医療財団の河北博文理事長は、今年1月の“見落とし”について、こう釈明する。

「専門の画像診断医でなかったことは本当に申し訳なかった。個々の医師の診断能力の問題もありましたが、一時に数十枚の胸の画像を読影することもある。なので判断で流されてしまった部分もあったのではないかと思っています」

 医療問題に詳しい石黒麻利子弁護士(医学博士)はこうアドバイスする。

「自治体の集団検診はあくまで全体の死亡率を下げることが目的です。医療裁判でも集団検診について『医師の注意義務には限界がある』との判例があり、もし訴訟になっても勝訴できる可能性は低いのが実情です。レントゲンだけでは病変がうまく写らないケースもあり、CTやMRIなどを用いて複合的に診断する人間ドックを定期的に受診することをお勧めします」

 この機に自分が受けている検診をチェックしてみては。