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「本人ではなくなぜ親が?」親同士がお見合い「代理婚活」の現場

子どもたちの結婚に結びつく秘訣とは?

2018/08/27

「娘様をお持ちの親御様はその場でご起立下さい。息子様をお持ちの親御様はご着席のままお待ち下さい」

 女性司会者のアナウンスが会場に響き渡ると、テーブル席に座っていた参加者たちの半数が一斉に立ち上がった。そして目当ての参加者が座るテーブルへと駆け寄り、娘の身上書を相手に差し出す。アピールタイムが始まると、会場がざわついた。

 娘を持つ母親4人が順番待ちをしている席では、差し出された身上書を眺めながら、ボールペン片手に大きな声で質問をし、得意げに対応する母親がいた。この母親の長男は、35歳の医師だ。参加者名簿の職業欄に「正社員」「公務員」が並ぶ中、一人だけ存在感を放っているから、母親たちが火花を散らすのも無理はない。同じく息子を持つ親の中には、誰にも言い寄られずに一人ぽつんと座る者もいて、そこには明暗がくっきり分かれていた。

「本人ではなくなぜ親が?」

 夏を思わせる陽気となった5月17日、ここ東京大神宮マツヤサロンの会場では、一般社団法人「良縁親の会」(京都府)が主催する親同士のお見合い会が開かれていた。

「本人ではなくなぜ親が?」

 そんな疑問から取材を始めてみると、日本各地で今、子どもの結婚相手を探し求める親同士のお見合いが、密かに繰り広げられている実態がわかった。子どもの代わりに婚活を行うことから「代理婚活」と呼ばれている。

 

白髪頭に杖をつきながら

 この日の参加者約120人は60代から80代の高齢者たちで、白髪頭に杖をつきながら来場する父親の姿も見られた。息子は30代半ば〜40代半ば、娘は20代後半〜30代半ばが中心だ。

 参加費用は1万3000円と、当人同士の婚活パーティー(4000〜6000円)に比べると倍以上。息子の親から娘の親へ、娘の親から息子の親へアプローチする時間がそれぞれ設けられ、話が合えば写真付きの身上書を交換する。お見合い終了後、持ち帰った身上書を子どもに見せ、了解が得られれば親から相手の親へ連絡をするという流れだ。その後は実際に会ってデートを重ね、成婚に至るケースもある。業者への報告義務はなく、成婚料も課されない。

 参加した親に取材を申し込むと、露骨に嫌な顔をされ、断られることは一度や二度ではなかった。「結婚して一人前」という従来の価値観が染み付いているため、親同士のお見合いに参加すること自体を恥だと感じているからではないか。

 だが一方で、子どもと同年代の、43歳の私も未婚であると明かすと、「あらそうだったの!」と途端に表情が緩み、同士だと感じて胸の内を語り始める親もいた。

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