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基本からわかる 憲法9条を変えなくていいシンプルな理由

高橋源一郎✕長谷部恭男「憲法対談」#1

note

9条の規定も国際連合の規定も、本質的には変わらない

高橋 いやぁ勉強になるな。憲法9条もそういう歴史の過程の中で生まれてきたわけですね。他の国の憲法は戦争については規定してないわけですよね。決闘する権利を認めているからでしょうか?

長谷部 いや、国際連合の憲章自体が国家間の関係での武力の行使を一般的に禁止していますので、もうそれぞれの国の憲法で規定するまでもなく、国連憲章違反になります。

高橋 ということは、9条の規定も国際連合の規定も、本質的には変わらないと考えていいんでしょうか。

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長谷部 本質は変わりません。

高橋 それはすごく面白い視点ですね。今まで9条をめぐってもめてきた、自衛隊は戦力にあたるから「持つ・持たない」、「条文を変える・変えない」と言っている議論自体が国際法の観点でみるとそもそもおかしい?

©平松市聖/文藝春秋

長谷部 今、私が申し上げた結論部分は、日本国憲法が公布された1946年11月3日、同じ日に内閣が刊行した『新憲法の解説』の説明と全く同じです。そこには、国連憲章の下で、自国防衛のための自衛の権利は認められているから、9条があっても心配する必要はないと書いてあるんです。