昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

豊橋の“若き工学者”たちは、なぜ「役立たずロボット」を作り続けるのか?

「弱いロボット」研究者・岡田美智男教授インタビュー #1

モジモジしながらティッシュを配ろうとするロボット、ゴミを拾い集めようとするも、自らはゴミを拾えずにヨタヨタ歩きまわるだけのゴミ箱ロボット……。一見「役に立たない」ロボットを作り続けている豊橋技術科学大学・岡田研究室(ICD-LAB)を訪ねました。どうして不完全なロボットばかり作っているんですか?(全2回の1回目/#2へ続く)

豊橋技術科学大学・岡田研究室(ICD-LAB)

「物忘れ」してしまうロボット

――こんにちは。 こ、ん、に、ち、は。

研究室の柄戸くん(以下、柄戸) あ、いや、話しかけても答えてくれるロボットじゃないんです。

柄戸くん

――あれ、そうなんですね。話しかけたくなっちゃった。

柄戸 まだ挨拶し返すプログラミングはしてないんですよ(笑)。これはTalking-Bones(トーキング・ボーンズ)といって、話す内容の大事なところを時々「物忘れ」してしまうロボットです。たとえば「むかしむかし、あるところに……」って桃太郎なんかの昔ばなしをしてくれるんですけれど、肝心なところで「えーと、なんだっけ」って言葉に詰まるんです。

肝心なことを忘れてしまう「Talking-Bones」

――なんだっけ、と言われると思わず一緒に考えちゃいますね。

柄戸 まさに人に「手助け」してもらうのがTalking-Bonesの目指すところなんです。人の優しさや助けたいという気持ちをうまく引き出すロボットです。

岡田 「大きな川から、えーとなんだっけ?」って言葉に詰まると、子どもたちは夢中になって「桃!」ってみんなで語りに参加するんですよ(笑)。

Talking-Bones

――こちらはゴミ箱ロボット。ヨロヨロこっちに近づいて来た。この空き缶をポイッと。

柄戸 センサーやカメラで人に気づいて近づいてくるんですけど、ゴミを入れてあげるとちゃんとお辞儀するんです(笑)。

ゴミ箱ロボット

もじもじしてるから無視できない

――これは先日、動画がバズってた「モジモジしながらティッシュを配ろうとするロボット」ですね。

柄戸 iBones(アイ・ボーンズ)っていいます。今日はブラックサンダーを配ってもらいましょう。

――もじもじしてる。無視できないですね、これは……。ありがとう。お辞儀してくれた。かわいい。

ブラックサンダーを手にもじもじする「iBones」
ありがとう

岡田 あの動画がネットでずいぶん注目されたのも、「どこかほっとけない」という気持ちを引き出したからかもしれませんね。

iBones

この記事の画像