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77歳 仲本工事が語る“ドリフ秘話”「加藤は天才、志村は秀才」の理由

ドリフターズ 仲本工事インタビュー#2

笹山 敬輔 2018/09/02

欽ちゃんと共演したときに驚いたこと

―― 仲本さんは欽ちゃん、萩本欽一さんと同い年ですよね。『全員集合』のころは、コント55号とライバルのように扱われてましたが、実際はどう思っていたんですか?

仲本 僕らはライバルとは思ってなかったですよ。ドリフの笑いが最高だと思ってたから。ただ、欽ちゃんと番組を一緒にやったときに驚いたことがあった。欽ちゃんもすごい熱心だからさ、終わった後に楽屋で1時間くらい反省会してるんだよ。研究熱心という点では、ドリフに似てるなって思いました。でも、欽ちゃんはコンビだけど、僕らは5人の劇団だから、ギャグも全然違う。

 

―― ほかの芸人さんと共演しても張り合うことはあまりなかったですか。

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仲本 ドリフにはドリフの笑いがあるからさ。ほら、Mr.ビーンっているじゃない。志村も注目して自分のコントに取り入れたこともあったんだけど。そのことで、僕はいかりやさんに怒られたことがあるんですよ。「志村が観て研究してるんだ。お前はどうなんだ」って。もちろん僕も知ってたけどさ、いかりやさんに「あの笑いよりもドリフの方が上だと思う」って言ったんです。そしたら、いかりやさんもそれっきり何も言わなかった。

―― ちょっと嬉しかったのかもしれませんね。

仲本 ハハハ、そうだね。Mr.ビーンには、最初から笑わそう笑わそうというのをすごく感じたんですよね。でも、ドリフは普通の設定から始まって、会話の中で発展していくでしょ。だから、すごく自然なんですよ。

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宇多田ヒカルのお母さん、藤圭子さんがきっかけで生まれたコント

―― さきほどドリフは「劇団」と仰いましたが、仲本さんはドリフでの立ち位置をどう考えていましたか?

仲本 どうかな、ドリフのメンバーはみんな、その状況に合わせて自分のポジションをうまく変えられるんだよね。5人でコントするときは5人にそれぞれの立場があるんだけど、4人や3人になったらまた違う立場がある。場合によっては主役になることだってある。ポジションってあんまり固定されてないって思ってますけどね。

 

―― 仲本さんが主役のコントと言えば、『全員集合』の体操コント。

仲本 あれは後半のショートコントのコーナーで、最初の相手は宇多田ヒカルのお母さん、藤圭子さんでした。彼女って体操しなさそうじゃない。そういう人に僕が体操のコーチをしたら面白いかなって発想から始まったんですよ。失敗したら罰ゲームとして腕立て伏せさせるんですけど、藤圭子さん、何回やっても失敗してウケんだよね。それがきっかけで、体操コントがレギュラー化したんじゃないかな。

 

―― いろんなアイドルと体操コントをされてましたよね。印象に残っているお相手はいますか?

仲本 やっぱりキャンディーズがうまかった。うまいというのは、コントとしての動きね。彼女たちは、前日にちゃんとコントの稽古してましたからね。だから見せ方もよく分かってる。笑いをしっかりとれるアイドルでした。