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連載近田春夫の考えるヒット

NHK2020応援ソング『パプリカ』は案外凝ってる――近田春夫の考えるヒット

2018/09/05

パプリカ(Foorin)/輝きだして走ってく(サンボマスター)

絵=安斎 肇

『パプリカ』だが、感想などを述べるにあたり、まずどういった経緯の代物なのか、そこは知っておかねばならぬ。

 添えられた資料を手にすると、「みんなのうた」である以上に“2020応援ソング”としてNHKが猛プッシュ中とある。〈年末の紅白歌合戦で正式出演者たち総出演による合唱タイムの設定も予想される〉ような立ち位置に君臨をされているらしい。そこで担当の若者が大晦日の現場のシミュレーションを披露してくれているのだが、これがなかなか“笑える景色”でして。ちょいと引用させてくださいね。先生曰く……。

〈きっと中央のFoorinの横にベテラン歌手とジャニーズ、後ろ横にはどういうスタンスで参加すれば良いのかわからないポーズをとりつつのロックバンド、背景にはAKB、乃木坂グループの大勢がずらりと居並ぶ感じでしょうか〉。

 閑話休題。

パプリカ/Foorin(ふーりん)(SONY)米津玄師プロデュース。2020年東京五輪組織委員会による認証を受けた公認「応援ソング」。

 さてその“センター”をつとめるとおぼしきFoorinは、小学生五人組とのこと。なので楽曲もきっとそうした年格好に相応しいものとなっているのだろう――だってそもそもがコレ「みんなのうた」なんですもんね(笑)――ぐらいの軽い気持ちで、聴き始めたのだった。

 すると、そんな私の予測が半分当たっていた気もするものの、想像と違っている部分もあって、“時代”ということを感ぜずにいられなかった。

 すなわち。たしかに曲調といえば童謡的と申しますか、児童たちになんの害も与えない、刺激の少ない優しい平和な印象で終始/推移するのだが、展開が案外複雑というか、たとえば転調をしてみせたり、旋律もことのほか要素が多く、俗にいう“凝った作り”である。パッと聴いて子供がすぐに口ずさめるような歌では、必ずしもなかったのである。

 実はつい最近、業界の人間と話していて、今時の若者たちは歌うのに難しい曲を好む傾向がある、ということを聞いたばかりだ。カラオケを一種ゲームの感覚で捉え、より難易度の高い曲を選び、画面の数字に出る歌唱力の得点を競い合うことに楽しみを見いだしているケースが、結構あるらしいのだ。

 ま、そのあたりの真偽の程に関してはこの際置くとして、なるほどjpopが、演歌や歌謡曲なんかと比べると、覚えるのに大変な音楽だというのは、俺にも実感としてある。

 生まれた時から、まわり一切がjpopに囲まれた環境で育てば、この曲くらいの歌い回しは“屁の河童”なのかもしれないなぁ……。そんなことを思ってしまった次第だ。

 しかし、冒頭の紅白合唱が現実となった時に気がかりなのが、いわゆるお歴々の皆さんのことだ。いや、ホントこの曲、こう見えて年配の方々だと、それなりにでもキチンと歌おうとすると意外と厄介だもん。思ったよりは練習しなきゃいけない。そこが心配。

輝きだして走ってく/サンボマスター(Victor)作詞作曲:山口隆。TBSドラマ『チア☆ダン』主題歌。純情すぎる応援ソング。

 サンボマスター。

 エレキの音、いいですねぇ。歌詞は俺には純情過ぎだけど。

今週の男性社会「久しぶりに腹の底から怒りが湧いてきたけどさ。ジャカルタでのアジア競技大会で男子バスケの選手たちが買春してたって問題で、ワイドショーの出演者の擁護コメントが本当にひどいね。なにかばってんだよ。彼女たちも商売だって言ってんのもいたけどさ、好きこのんでやってると思ってんのかね」と近田春夫氏。「今回は真面目な話です」