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岡ーズが考える「岡なき世界の日本ハム外野陣」

文春野球コラム ペナントレース2018

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 8月は首位攻防戦かと思っていたら「2位攻防戦」に巻き込まれ、3位に転落したファイターズである。この間、僕は熱心に「岡ーズ」としての活動を続けてきた。岡大海のロッテ移籍にともない、ファイターズ公式オンラインストアでは「OKA 18」のレプリカユニホームが1506円で在庫処分されたのである。知人のひろみ推しファン(北海道北見市出身)はその投げ売り感を悲しんだ。発端はその知人を励ましたいという感情から出たものだ。思いついて15分の間にLINEで6人の注文を取りまとめ、6着の「OKA 18」ユニを注文した(1回につき5000円以上の買い物をすると送料無料になる)。発注するときすごく愉快な気持ちになった。内訳はOが2着、L1着、M3着。オレは業者か。

 その岡ユニを着てメットライフドームの文化放送中継ブースにも入った。朝ワイドのスタジオにも出かけた。もうチームを離れた選手をこんなに積極的にナニするのは初めてだ。いや、ナニとごまかしたのは何と表現したらいいか難しいところだからだ。単なる「応援していた選手のユニを着続ける行為」とは違う。僕が『くにまるジャパン極』(文化放送)のスタジオで強調した言い方は「落穂拾い」だ。「落穂拾い」というとミレーの名画が思い浮かぶだろう。農婦が腰をかがめて、収穫後の畑で落穂を拾っている。旧約聖書のレビ記に「穀物を収穫するときは、畑の隅まで刈り尽くしてはならない」「これらは貧しい者や寄留者のために残しておかねばならない」と書いてあるそうだ。商品経済(トレード)の落穂を僕らは腰をかがめて拾ったのだ。

トレードでロッテに移籍した岡大海 ©時事通信社

「岡ーズ」の活動内容とは

 この8月に熱中したのは「OKA 18」を着てやみくもに集まる行動だ。わからないが魚民とか目利きの銀次とか、そういう居酒屋にファイターズユニの客が5人来るのだ。「5名ですが、あとで遅れて1人来ます」。店員さんは、ああ、野球応援の帰りなんだなと思う。もちろんそんなことはない。岡ーズは普段から岡ーズ行動を取る気まんまん。全員、日ハムのユニホームだが背中は「OKA 18」だ。野球に詳しくない店員さんなら(同じ選手を応援する)ちょっと変わったグループなんだなと思う。野球に詳しい店員さんなら(ロッテに移籍したはずの岡を応援する)ちょっと変わったグループなんだなと思う。で、1人遅れて「わりぃわりぃ」と到着した客がやっぱり「OKA 18」だ。これが岡ーズ。

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 これは今後どんどん増やしていきたいなと思っているので、白木屋だか笑笑だか、そういう居酒屋にいずれはファイターズユニの客が15人来るのだ。「15名ですが、あとで遅れて1人来ます」。それがもちろん全員「OKA 18」なのだ。これはよくわからないが、ただの集団じゃない気がしてくる。会話も弾んでいる。岡大海のあんなところが好きこんなところが好き。あと『まんがはじめて物語』のおねえさん、岡まゆみも好き。わーきゃー言ってると1人遅れて「わりぃわりぃ」と到着した客が「OKA 39」のアロハユニを着ていて、店員さんが「1人だけロッテかーい」とツッコむ。そういう感じが理想だ。これが岡ーズ。

 参加者に経済的負担がかからない点も好ましい。「落穂拾い」だから。1506円ならセールのTシャツ価格だ。「好きだった選手が移籍してもそのユニホームを着る」が一段進んで「移籍した選手のユニホームを着てからだんだん好きになる」くらいの、こう、お友達から始める交際みたいなタイプもまぎれているだろう。まぁ、それはいいだろう。岡ーズに貴賤なし。みんな平等にもういない選手のユニを着てるんだから。

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