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「冷凍食品」「ホームフリージング」冷凍食材を「本当においしく」食べる方法

冷凍食品ジャーナリスト山本純子インタビュー#3

note

──家庭で「ゼロ」にしてしまうことが多いのですか?

山本 そうですね、残念ながら多いです。たとえば、冷凍炒飯。電子レンジにいれる際にはラップをかけないで、と表示してあるにもかかわらず、ラップをかけて解凍して「やっぱり冷凍炒飯はベチャッとしておいしくない」などと言われると悲しくなります。

 あと、スーパーで冷凍食品を買ったら、必ず保冷剤をもらってください。「家が近いから」とか「すぐ帰るから」と保冷剤をもらわない方も多いんですが、帰宅途中で近所のおしゃべりな人に遭遇したり、すべての信号でストップしたりするなど、コールドチェーンを切らすトラップは意外に多く潜んでいます。保冷バッグの持参がベストですが、忘れた場合、買い物バッグの中では、なるべく冷凍食品は真ん中に入れ、サイドを常温品でブロックして、上に保冷剤を置く。そして、走って帰る(笑)。

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 さらに、家庭の冷凍庫に入れた後は、賞味期間にかかわらず1~2カ月で使い切ってください。マイナス18℃以下に保つ高性能冷凍庫でも、扉の開け閉めが激しい家庭では温度変化にさらされて、品質が低下していくからです。

冷凍に向く食材

──「正しく」冷凍食品を購入・運搬し、家庭で調理する際は、表示をよく読んで「正しく」解凍すれば、冷凍食品はもっとおいしく食べられるんですね。今まで損していた気分です。冷凍食品の方がおいしい食材などはあるんですか? 

山本 冷凍うどんがおすすめです。一般に、でんぷん質の食材は「冷凍適性」があるといわれていて、うどん、パスタ、ラーメン、ご飯、パンなどは冷凍食品に向いています。冷凍うどんの最新工場では、茹でたての状態からわずか10分で急速凍結するほど冷凍技術が高くなっているので、正しく解凍すれば茹でたてのコシのあるうどんがおいしく食べられます。生卵を絡めれば、美味しい釜玉うどんになりますよ。ただ、ゆですぎ注意なので、1食だけの時は電子レンジで解凍するのがおススメです。暑い時期もレンジ解凍は便利ですね。お好み焼きなんかも、下手に家庭でつくるよりよっぽどおいしいんですよ。

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 ホームフリージングでは、ごはんや食パンなど、当日食べきれない分を冷凍しておくといいですよ。家庭の冷凍庫だと冷凍に時間のかかる緩慢凍結になるので、急速凍結よりも品質は劣りますけど、1週間くらいで食べきるなら問題ないと思います。