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田中将大、柳田悠岐……30歳になった「88世代」を年俸で比べてみた

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/04

 今年の第100回夏の甲子園は、例年以上に面白い大会でした。思い返せば、昨年の甲子園は広陵高校の中村(現カープ)のためにあったような大会でした。早稲田実業の清宮(現日本ハム)が出場しなかったこともありましたが、総じて中村が話題の中心にいました。

 一方、今年は金足農業高校の吉田君が話題の中心にいました。しかし、優勝した大阪桐蔭高校の強さは異次元で、藤原君、根尾君、柿木君を中心としたスターたちの、プロ野球と見間違えるほどのプレーは僕にとって勝敗よりも興味深いものでした。星稜高校と済美高校の延長戦逆転サヨナラ満塁ホームランで決着がついた試合は、個人的にはこの甲子園でベストゲーム。打った本人がガッツポーズをうまく作れなかったり、喜びを表現できなかったりするあの状態こそ、極限まで集中力が高まっていることのあらわれだと感じました。

 ああいう試合で、追いついては追いつかれる展開を繰り返すと、敵と味方という境界も曖昧になってきて、「勝負」そのものに没頭していく感覚になっていきます。その中では、「決着がついてしまう」という恐れすら感じるようになり、「あぁ、この時間が一生続けばいいのに」という気分になっていきます。試合が決まった直後に、星稜高校の選手も済美高校の選手も両方泣いていましたが、勝敗よりも、「この試合が終わってしまった」ことの虚無感から泣いているようにさえ見えました。あの中で試合ができた選手を思うと、とっても羨ましい。あんな経験は、人生でそう何度もあることではありませんからね。

95人がプロ入りした「88世代」

 僕の世代の第88回大会も、伝説を残しました。早稲田実業対駒大苫小牧の決勝戦延長再試合。あの試合も、観ている側でさえ「もっと観ていたい」と思うくらいなので、やっている側は最高だったでしょう。県予選で敗退し、テレビで観ていた僕にとっては、同級生があれだけの試合を繰り広げているのを見て、非常に力づけられました。

駒大苫小牧時代の田中将大 ©文藝春秋

 さて、その第88回で活躍した選手たちは1988年生まれ。俗に言う、「88世代」、当時は「ハンカチ世代」と呼ばれました。その年2006年のドラフト会議は、高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトが別々に行われ、高校生ドラフトでは33人の高校生が指名されました。その中で僕は32番目。指名されることを諦めて、気持ちを切り替えようと必死になっている中で指名され、頭が真っ白になったことを今でも昨日のように覚えています。

 そんな2007年入団の88世代は、12年経って13名になりました。12年もプロ野球でプレーをしていること自体に心からの尊敬があります。大卒経由、社会人野球経由を合わせると、これまでに88世代は95人がプロ入りし、45人が現在もNPBでプレーをしています(MLBの2名を入れると47名、外国人選手を除く)。同級生に色々思いもありますが、今回はあえて彼らが最も分かりやすく評価されている指標、「年俸」から見てみましょう。

88世代のソフトバンク・柳田悠岐 ©文藝春秋