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ロッテ・福浦和也が書く「2000本安打達成で思い出した、25歳春のあるできごと」

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/26

 9月22日のライオンズ戦で通算2000本安打を達成させていただきました千葉ロッテマリーンズの福浦和也です。

 記者会見、テレビの個別インタビューをすべて終え、ロッカーでこちらを書かせていただいています。個人的には書いて表現することはとても苦手で、普段なら絶対に書きませんが、だいぶ前から梶原(紀章)広報とは「達成したらなんでもやるよ」と約束をしてしまっていたので頑張って書かせていただいています。

22日の西武戦、2000本安打を放った瞬間の福浦和也 ©時事通信社

ライオンズ戦で達成できた喜び

 達成した瞬間はファン、家族、ここまで出会ってきたすべての監督、コーチ、選手、スタッフへの感謝の気持ちで一杯となりました。だから代走を告げられてベンチに戻るとみんなと「ありがとう」と言って抱き合いました。

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 そしてなによりも嬉しかったことは同じ年で仲のよいライオンズ松井稼頭央外野手が三塁側ベンチ横から二塁まで走ってきて、花束をくれたことです。今年に入って対戦試合で会うたびに彼からは「ライオンズ戦で達成してくれよ。オレが花束を持って行きたいから」と声をかけていただいていました。自分の中では、なかなか、そんなに上手くはいかないだろうなあと思いながらも、どこかでライオンズ戦を意識していました。

 1戦目が雨天中止。2戦目で1安打の王手。そして迎えた3連戦3戦目。無安打のまま迎えた八回の第4打席で小川投手のスライダーにバットを合わせると二塁打となりました。とりあえずバットに当てようというガムシャラな意識。スタンドからの地鳴りのような声援を聞いて、記録を達成したことを実感しました。1500安打目を記録してから9年での達成。期待をしてくださったファンの皆様には長い間、お待たせして申し訳ないという気持ちで一杯ですが、時間をかけて、なんとか期待に応えることが出来て嬉しいです。

記者会見中に思い出したこと

 記者会見ではいろいろな質問がありました。その場で一つ、思い出したことがありました。「過去に誰か2000本安打を打つ、もしくはいつか首位打者を獲ると予言していた人はいますか?」という質問をいただいた時の事です。

 もちろん自分でも想像もしていません。最初にプロのキャンプを見た時には呆気にとられました。正直に数年やってクビだろうなあと思いました。1年目の前半戦で投手から野手に転向。後はとりあえず悔いが残らないようにだけ頑張ろうとガムシャラな練習の日々を送りました。そうして97年より少しずつ一軍の試合に出場する機会が増えるようになりました。

 あれは01年の鹿児島春季キャンプの事です。00年オフにイチロー選手がメジャーに移籍。7年連続首位打者が海を渡り、野球ファンの間では「今年は誰が首位打者を獲るのだろう」と話題となっていました。自分も誰かなあと他人事のように考えていました。

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