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紺野美沙子さんが教えてくれた朗読の魅力とは?――尾木ママ語る

尾木のママで

2018/09/06
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イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 先日、俳優の紺野美沙子さん主宰「朗読座」の舞台に上がったの! ボクは昔から紺野さんの大ファン。実はオファーが来た時、嬉しい気持ちを押し隠して辞退したの。中学教師になりたての頃、国語の詩の範読で、生徒に関西弁のイントネーションを笑われたのがトラウマに。朗読には苦手意識があったから。

 でも、公演テーマは「そうか、自分は自分らしく歩んでいけばいいんだ」。ボクのモットーとピッタリ重なる! しかも、渡されたのは『ええところ』(作・くすのきしげのり 絵・ふるしょうようこ/学研)。関西弁で綴られた絵本ね。これじゃ断れない(笑)。

 いざ開幕、紺野さんとピアニストの中村由利子さん、ボクの三人でステージへ。会場は子供から年配者まで満席。まずはボク単独で臨む『ええところ』。朗読、初挑戦よ! 続いて『だいじょうぶ だいじょうぶ』(作・絵 いとうひろし/講談社)は紺野さんとの共演。紺野さんの情感たっぷりのパフォーマンスには完全に脱帽! うまく読まなきゃっていう気負いは霧散。「紺野さんについていけばいいのね!」って素直に思えたわ(笑)。

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 ボクは、次々不安な出来事にぶつかる少年に、その都度「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかけ安心させるおじいさんの役。五通りの「だいじょうぶ」をどう読み分けるかがボクの「課題」だった。でも、紺野さんがその場面にピッタリのニュアンスで読んでくれるし、中村さんの即興を交えたピアノ演奏、薄暗い照明で一体感も最高潮に。ボクもすっかり役になり切って、自然と読み分けていたわ。

 ふと客席に目をやると、皆さん舞台に引き込まれ、涙ぐむご婦人も。朗読は、読み手も聴き手も一体となって感情移入でき、照明、音響も巻き込んで作り上げる「総合芸術」ね。ぜひ学校でも取り入れたい。朗読の魅力、皆さんにもぜひ体験してほしいわ!

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