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連載近田春夫の考えるヒット

いまどきまっとうな三浦大知 歌のほうは優等生すぎない?――近田春夫の考えるヒット

2018/09/12

Be Myself(三浦大知)/大不正解(back number)

絵=安斎 肇

 そういえば、ここ2回ほど三浦大知をTVで観ることがあった。といっても音楽モノではない。情報番組のコーナーインタビュー的なものだったのだが、その受け応えをする表情というか佇まいがなんだか好感持てるっつーか。あれこれ理由を探しているうち、要するに31歳の青年として至極まっとうな――とはいささか偉そうないい回しですね――考え方をしている男なのだなと気づいたのである。普通に社会人として生きている。“地に足の着いた人生”を送っている表現者のように俺には映ったのである。

 話の内容も楽しめた。

 普段、何をして過ごすことが多いのかと問われた三浦大知は、すかさず、ほぼ考えごとをしていると答える。よく聞くと、いつもアタマのなかにあるのは振り付けのことだそうで、私なぞ門外漢ゆえ、振り付けというと、バレエ教室よろしく鏡張りの部屋かなんかで、身体を動かしながら組み立てていくものだとばかり思い込んでいたところがあったので、ほぼアタマの中で完成させて行くというのは、結構意外な事実であった。ただ、それが三浦大知に特有のものなのか一般的なことなのか、そのあたりは定かでないのだが……。

Be Myself/三浦大知(AVEX)作詞・作曲・編曲:Nao'ymt。66人という、三浦大知MV史上最多を誇るダンサー陣との共演が見どころ。

 そうしたなかで、いつも彼の脳内には“ミニ三浦大知”とでも呼ぶべき一種バーチャルリアリティのフィギュアみたいなものが住んでいるというエピソードも披露された。その子に――アタマのなかで――色々踊りをさせてみたりしては研究に励んでいるらしいのだが、あのルックスのまんまのミニチュアってェのは、想像するだけでなんだか可笑しい。笑える。あ、そうだ! 本当にそういうフィギュア作ってですねぇ、プログラミングで本人ソックリに踊るっての売り出したら、案外いけるんじゃない?

 とかなんとか、ついついマクラが長くなってしまい、失礼をばいたしやした。

 新曲は『Be Myself』という。売りは、やたらと大人数を従えてのダンスの映像である。それはやはり見応えのあるものだと思ったのだが、このページは音楽のことを中心に書くことになっているので、あまりそっちには触れず、私は楽曲の印象なり感想なりに終始しようかいなと思う。

 ♪窓のない無機質な通路/進む人の大半は虚ろ/蒸した熱気にめくるフード/動く空調

 といった歌い出しで楽曲は始まる。歌詞全般がこんな調子である。いってみれば近未来を舞台としたSF映画のセットのような景色だ。そのなか主人公はといえば……、

 ♪どんなときも/自分でいたい

 率直にいって、いくらなんでもそう簡単にまとめないでくださいよ。

 曲調も含め、jpopとしては優等生ってとこっすかね?

大不正解/back number(ユニバーサル)作詞・作曲:清水依与吏。前作から8ヶ月ぶりのシングル。映画『銀魂2』主題歌。

 back number。

 こちらも優等生。破綻のない構成/展開で、詞曲からボーカルの声質に至るまで、問題はひとつもなかったです。

今週の告知「道玄坂のeplus リビングルームカフェ&ダイニングって店で、こんど大人のパーティをやるよ! “近田春夫FIXES LIVING秘密党結成記念 道玄坂集会大前夜祭”っての。来年から本格的に活動予定だけど、その前哨戦って感じ」と近田春夫氏。「10/2。当日はオレのバンド活躍中だけでなく、オレプロデュースのお弁当もでるからね!」