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チア女子部員パワハラ 日大はなぜ「まともな対応」をしなかったのか

旬選ジャーナル 目利きが選ぶ一押しニュース

2018/09/13

〈日大チア監督 パワハラ 上部組織、対応せず〉8月9日、毎日新聞朝刊(筆者=川上珠実、銭場裕司)

 ハラスメント問題の語られ方が変化している。それもポジティブな方向に。

 閉鎖的な組織内で力を持った人の発言が、虚偽であったとしても「事実」として広がり、被害者は泣き寝入りを強いられる――。こうした事案は全国どこでも起きているがゆえにニュースバリューは低く見積もられがちで、大きく取り上げられることは少なかった。

 これまでは、である。被害者は声をあげ、メディアが検証して報じるという流れができた。変化はこう言いあらわせる。ハラスメントは「ありふれているからニュースではない」から「ありふれているからこそニュース」なのだ、と。

虚偽をもとに叱責を続けた女性監督

 8月9日朝刊で私の古巣、毎日新聞が社会面トップで大きく報じた「日大チア監督 パワハラ 上部組織、対応せず」というスクープは変化を象徴している記事だった。

 日大チア部でパワハラ事案が続いたのは今年2月前後のこと。部の女性監督が、手術後にリハビリを続けたいと申し出た女子部員に対し「ずる賢いばかは嫌い。証明できるものを見せなさい」と彼女が虚偽の報告をしていると決めつける発言をした。さらに全員の前で「大雪の日に事務員に頼んで練習をなくそうとした」と虚偽をもとに叱責を続けた。

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 記事を読む限り彼女が傷ついたのは監督の主張に同調した同期が、「反省していない」と彼女を責めたてたこと、監督が叱責の内容を訂正せず、虚偽が部内で「事実」として広がったことにある。

 ところが悪質タックル問題で懲戒解雇処分となった、アメフト部の内田正人前監督が事務局長を務めていた日大保健体育審議会は解決に応じなかった。彼女は学内の人権救済機関に訴え、パワハラ認定を勝ち取る。