昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

FPが断言する「不動産投資、最大のメリット」とは?

ファイナンシャルプランナー田中 佑輝氏に聞く

人生100年時代と言われるいま、老後の資金づくりの手段として不動産投資や土地活用が注目されている。不動産投資や土地活用を検討する際のメリットや注意点を専門家に取材するとともに、具体的な方策について取り上げる。


くすぶる世界経済の調整リスク

アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役 田中 佑輝氏
シンガポールに10年間滞在後、外資系銀行を経て、独立系FP事務所を設立。年間2000組以上の個人、法人相談者の「お金」に関する問題を解決。運営している事務所は設立後7年、相談報酬で運営しているFP事務所としては最大手に。また不動産投資家として1棟8部屋の物件を保有する。
アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役 田中 佑輝氏
シンガポールに10年間滞在後、外資系銀行を経て、独立系FP事務所を設立。年間2000組以上の個人、法人相談者の「お金」に関する問題を解決。運営している事務所は設立後7年、相談報酬で運営しているFP事務所としては最大手に。また不動産投資家として1棟8部屋の物件を保有する。

 日銀の大規模な金融緩和や2015年1月の改正相続税法の施行、16年1月のマイナス金利政策の導入などさまざまな要因を背景に、ここ数年、個人向けの不動産投資や土地活用が大きな注目を集めてきた。しかし今年に入り明らかになった女性専用シェアハウスへの投資トラブルと、それに伴うスルガ銀行の不正融資問題をきっかけに、足元では事業社選びの重要性がより高まっている。

 ファイナンシャルプランナーで自身も複数の物件を保有する不動産オーナーである田中佑輝氏は「確かにスルガ銀行の問題は深刻ですが、現在の低金利環境が続く限り、金融機関の個人向け不動産融資はある程度継続するでしょう。あの事件をきっかけに不動産市況が大きく調整するとは思いません」と現状を分析しつつ、「不動産市況が今後も継続して上昇するような材料はいまのところ不足しており、不動産投資をするにしても、売却益を狙った購入をする時期ではないでしょう」とくぎを刺す。

 リーマン・ショックから10年が経過し、足元では一見堅調そうな世界経済も、米中貿易戦争や新興国通貨安など各所にリスクがくすぶっている。世界の株式市場が大きな調整局面を迎えれば、日本の不動産市況も、少なからず影響を受けかねない。

ローンでレバレッジ効果を期待

 こうした中で、不動産投資や土地活用を検討すべき理由やメリットには、何があるだろうか。田中氏は「不動産投資の最大のメリットは、ローンを利用できること」と断言する。手持ちの資金を使わなくても、金融機関から融資を受けることによって物件を購入できるため、大きなレバレッジ効果を期待できるわけだ。

 「私もお金はできるだけ蓄えや他の投資に回して、不動産への投資は可能な限り融資を活用しています」。依然として超低金利状態の日本では、融資を受けるのに有利な状態が継続している。売却益を狙うのではなく、家賃収入を原資とする安定的なインカムゲインを狙うのであれば、目先の不動産市況を気にする必要もない。中長期的な資産運用を検討する場合、不動産はどのような環境下においても有力な選択肢の一つといえそうだ。

自己判断できる知識を身につける

 また土地オーナーにとっては、相続対策としての不動産投資や土地活用を検討したい。日本の相続税は世界的にも高く、土地を保有し続けるのであれば、「納税資金を確保する」「相続税評価額を圧縮する」といった相続対策が必要なのだ。賃貸住宅として第三者に貸し出せば、評価額が下がり高い節税効果を期待できる。昨今では、賃貸住宅以外にも、二世帯住宅や民泊事業などさまざまな選択肢がある。

 とはいえ、不動産投資には多くの専門知識が必要であり、信頼できる不動産会社と付き合うことが成功への近道といえる。「信頼できる不動産会社を見極めるためにも、投資家やオーナー自身も最低限勉強する必要があります」と田中氏。「好利回り」「賃料保証だから安心」など営業担当者の言うことを鵜呑みにして安心してしまうのではなく、物件の良しあしや、周辺の賃料相場、平均的な利回り水準、そのエリアの賃貸ニーズ、契約の内容などについて、自己判断できることが欠かせない。

不動産投資は課題解決の手段

 さらに田中氏は「不動産投資や土地活用は課題解決のための手段。何のためにやるのかという目的とゴールを必ず明確にしてください」とアドバイスする。単に「収益を追求したい」といった漠然とした理由ではなく、「老後も年に一度は夫婦で海外旅行がしたい」といった具体的で実現性の高いゴールを設けるのがコツだ。具体的であれば「そのゴールに到達するためにいくら必要で、そのために必要な利回りは何%か?」など、ゴールから逆算して計画を立てられる。必要以上のリスクを取ることもなく、失敗のリスクを下げることができる。こうした専門家の指摘を参考にしながら、不動産投資・土地活用を検討してほしい。