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連載近田春夫の考えるヒット

どうしても気になってしまうKICK THE CAN CREWと岡村靖幸――近田春夫の考えるヒット

2018/09/19

住所 feat. 岡村靖幸(KICK THE CAN CREW)/アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)

絵=安斎 肇

 私ごとで恐縮だが、このところ活躍中――といってもご存知ない方も多くいらっしゃると思いますので説明をしておきますと、去年の秋に結成をした僕のバンドの名前です。TwitterやFacebookにて、活躍中で検索していただければ、ライブスケジュール等、わかるようになっておりますのでよろしくっす――の練習で、渋谷に行くことが多い。

 その渋谷の街でやたらと目にするのが、宣伝用パネルを貼り付けた大型トラックだ。アイドルだったり風俗関係だったり、なんにせよあれだけしょっちゅう見かけるのだ。結構お金がかかろうとも、きっと対費用ということならば、かなり効率もいいのだろう。

 その辺の事情はさておき、最近やられた! と思ったのがKICK THE CAN CREWの『住所 feat. 岡村靖幸』の宣伝カーなのである。

 最初、これが一体なんなのか? ひらったく申せば“住所”というのが曲タイトルとは気付かず、例えば岡村靖幸がKICK THE CAN CREWの事務所に移籍でもした、その告知のために大型トラックを走らせているのかいな? とかなんとか、ボーっと眺めているうちに道玄坂を駅の方に走り去っていってしまった。それでどうしても気になってついつい調べてしまう羽目に陥ったという顛末である。

住所 feat. 岡村靖幸/KICK THE CAN CREW(ビクター)作詞:MCU・LITTLE・KREVA・岡村靖幸 作曲:MCU・LITTLE・KREVA

 しかし、KICK THE CAN CREWと岡村靖幸。いずれにせよ、これがちょっと興味をそそられる組み合わせなことに変わりはない。

 そこで音源の再生を始めると、イントロから、ヒップホップというよりはjpop?な音で、歌詞もラブリーに、

 ♪そうさ住所 一緒のとこにしよう

 といった――サビの歌詞がタイトルになったようだ――いかにも女子受けしそうな景色が広がる。

 この曲を聴き、あらためて思ったことがある。それは昨今の“和ヒップホップ”はなんの系譜なのかという話なのだが、つまりはフォークソングだよね、“和のフォーク”。

 なんかさぁ、評論家とかがグルーヴがなんちゃらだの音響がどーたらだのというから、ついダンスミュージックの一種みたいにも思い込んじゃうけど、実は、昔フォークギターだったのが、今ターンテーブルになっただけっつうか。この歌詞を聴いていると、そんな気分にもさせられて……。

 いやいやマジよ。思わず南こうせつとかぐや姫や、上村一夫の世界がよみがえってきちゃいました、ハイ。

 ただそういったあの時代と比べると、若者達の“同棲”を取り巻く環境など、たしかに今の方が断然豊かなのだなぁと、しみじみと思ったりもさせられて、若干感慨深いものもある俺でもあった。とりあえず二人で暮らすのに、

 ♪約10畳ぐらいの部屋でどう? ♪まずは1LDK

 70年代は風呂なしの4畳半からスタートしてたもんなぁ。

アイノカタチ feat. HIDE(GReeeeN)/MISIA(SONY)作詞・作曲:GReeeeN TBSドラマ『義母と娘のブルース』への書き下ろし。

MISIA。

 スローなしっとりもいいけど、もう彼女、ビートのある新曲はやんないのかね?

今週の告知「9/22(土)の夜、横浜・日ノ出町のクラブセンセーションで、元TENSAWのmichiakiとSaybowらとセッションやるよ。ロックっぽい感じなので、よろしかったらお越しください」と近田春夫氏。「みんなまったくのぶっつけ本番で挑むんで、どこまで“いかにも!”な感じに持っていけるか、オレらの真剣勝負を楽しんで欲しいね」