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「金正恩と安倍晋三が会う日」 安倍首相が前のめりになった北朝鮮からの“提案”

2018/09/18
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外交成果を出したい安倍首相

 安定した支持率を維持し、総裁選も問題ないであろう安倍首相も、最近内政、外交で大きな成果をあげていない。

 今月10日にはプーチン大統領と安倍首相が、22回目の日ロ首脳会談を開いたが、「領土問題抜きで平和条約を年内に締結しよう」と、プーチン大統領から一方的に持ちかけられるなど、北方領土問題解決は遠のくばかりだ。

 総裁選では大きなテーマとはならなかったが、唯一の対抗馬となった石破茂元幹事長は、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け「北朝鮮に連絡事務所をつくり、成果を一つ一つ検証する仕組みをつくる」と述べ、安倍首相の対北朝鮮強硬路線に一石を投じている。

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02年、04年と2度行われた小泉元首相と金正日元委員長の会談以来、日朝首脳は会っていない ©共同通信社

日朝首脳会談、早ければ11月か

 今後の外交日程を見ると、安倍首相は10月に訪中する計画がある。2度目の米朝首脳会談も同じ10月に行われる可能性がある。

 そこから考えると、日朝の首脳会談は早ければ、やはり11月ではないか。

 韓国が全面協力する姿勢を示しているので、場所は南北の軍事境界ラインにある板門店の韓国側が候補とされている可能性がある。

 金正恩委員長との直接会談は、間違いなく世界の注目を集める。ただ、拉致被害者の家族や、日本の世論が納得するだけの結果が得られる見通しはない。

 日朝首脳会談は政治的に大きな「賭け」だが、安倍首相は、賭けに出る可能性が高まっている。

金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて

五味 洋治(著)

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2018年3月7日 発売

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