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講演料は1回700万円 ジャーナリスト界の“レジェンド”はトランプを倒すか?

トランプ氏は「この本は捏造」と反発 ©共同通信社

「私は今まで、このようなことが起こっているのを見たことも聞いたこともない」

 かつて相棒のカール・バーンスタイン記者とともにウォーターゲート事件を暴き、ニクソン大統領を辞任に追い込んだ、米ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード編集委員。彼は、自身が先日上梓したトランプ政権の内幕本「フィアー(恐怖) ホワイトハウスのトランプ」についてこう語っている。同書は、コーン元大統領補佐官が「私は国を守っている」と大統領の机上から米韓自由貿易協定破棄に関する文書を盗み出す様子や、マティス国防長官が大統領の理解力を「(小学校)5、6年生並み」と揶揄したことなどを赤裸々に綴っている。

 在米ジャーナリストが語る。

「当時も『ディープスロート』がもたらすヒントをもとに足で稼いだが、今回も政権内部を取材し数百時間の録音をもとに執筆。ただ、氏1人ではなく、複数の取材スタッフを抱え、録音やデータの整理もチームで行っています」

 かつてウッドワード氏を取材したことのあるジャーナリストの堀田佳男氏が語る。

「非常に穏やかな人物で、バリバリと攻撃を仕掛けるタイプではない。高級スーツに身を包む姿は、従来の安いシャツで走り回る記者のイメージを変えました。各政権の内情を書いた本はこれまで世界中で何百万冊も売れているので、印税を含め億単位の年収でしょう。75歳になったいまも多角的な視点で取材し、表と裏から問題を探り当てる鋭さは衰えていません」

 彼が住むのは、ワシントンDCの高級住宅街ジョージタウンの4階建ての豪邸。かつてワシントンの初代市長も住んだ家で、ウォーターゲート事件の直後に購入した。他に近郊のアナポリスにも別荘がある。執筆のほか講演活動も行っており、1回の講演料は最高で700万円近くになる。バーンスタイン氏と同様、3度結婚しており、最初の妻と、今の妻との間に娘がいる。

 新著は、政権にどれほどのインパクトをもたらすのか?

「残念ながらこれで支持が大きく減ることはない。すでに米国ではトランプ支持派と反トランプ派が明確に線引きされており、狂信的なファンに支えられています」(同前)

 ジャーナリスト界の“レジェンド”の攻勢も、前代未聞の大統領には通用しないのか。