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グーグルやアマゾンは何を考え、どこへ向かおうとしているのか

大西康之が『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ 著)を読む

2018/09/28
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ 著/渡会圭子 訳)

 かつて「日経ウォッチャーIBM版」というニューズレターがあった(96年廃刊)。IBMが発売する大型コンピューターの値段、性能から日本IBMの役員人事まで、IBMのニュースだけを細大漏らさず伝える専門誌だ。

 読者はNEC、富士通、日立製作所、東芝など日本のコンピューターメーカーのビジネスパーソンだ。彼らは世界のコンピューター市場を支配して「ビッグブルー」と呼ばれたIBMの動向を、目を皿のようにして追いかけていた。

 今、世界のIT市場を支配しているのは本書が取り上げる「GAFA(ガーフア)(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドットコム)」であり、本来なら日経ウォッチャーの「アマゾン版」や「グーグル版」があってもおかしくない。だが、残念なことにその手のニューズレターは存在しない。予想される読者があまりに少ないからだ。

 GAFAのサービスは我々の生活に浸透している。日本人の多くは毎日、手元のiPhoneでなにがしかの情報を検索し、アマゾンで買い物をし、フェイスブックに近況を書き込む。だが日本では「GAFAがなぜこれほど巨大になり、何を考え、どこへ向かおうとしているのか」という情報が決定的に不足している。

 最大の理由は日本のIT業界やメディアが「GAFAに追いつくのは無理」と諦め、視線を切ってしまったからだ。

 しかし自らも9つの会社を起業し、ニューヨーク・タイムズの役員も務めた筆者は言う。

「四騎士(GAFAのこと)を理解することは絶対に必要だ。それはいまのデジタル時代の先行きを予測し、あなたとあなたの家族のための経済的安定を築くための、より大きな力となる」

 今年8月、アップルの株式時価総額が1兆ドルを突破し、アマゾンが続いた。日本の国家予算規模の価値を持つ企業の動向を知らずにいていいはずがない。必読である。

スコット・ギャロウェイ/1964年生まれ。ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。連続起業家として9つの会社を起業する。ニューヨーク・タイムズなどの役員も歴任。2012年、「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出された。

おおにしやすゆき/1965年生まれ。ジャーナリスト。日経新聞を経て2016年に独立。『ロケット・ササキ』など著書多数。

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

スコット・ギャロウェイ(著) 渡会圭子(訳)

東洋経済新報社
2018年7月27日 発売

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