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日本の携帯料金は高い? 菅氏の「4割値下げ」発言にドコモ社長の不満

2018/09/28
ドコモの吉澤社長は「料金には納得感が必要」  ©共同通信社

「(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの)3社で(シェアが)9割だ。利益は7000億円前後上げていて、どう考えてもおかしい」

 総裁選翌日の9月21日、定例の記者会見でそう述べた菅義偉官房長官。8月下旬に打ち出した携帯料金の4割値下げに改めて意欲を見せた。

「沖縄県知事選の応援でも菅氏は『佐喜真(淳)候補がこの問題を公約にした』とアピールしていた」(菅氏周辺)

 菅氏の発言は、事前に総務省など関係省庁と綿密にすり合わせが行われている。

「菅氏は内閣府が作成した携帯料金の国際比較資料を一言一句間違えないように読み上げた。お膳立てしたのは、菅氏が総務相の時に料金サービス課長として不透明な料金体系に切り込んだ谷脇康彦氏。値下げに切り込むため、谷脇氏を7月の人事で総合通信基盤局長に昇格させる布石を打っていました」(総務省関係者)

 背景には、来年10月に予定されている10%への消費増税対策もあると見られる。

「家計全体で見ると、4割値下げの効果は2.6兆円。消費増税負担2.2兆円を上回ります。菅氏には、国民ウケも狙えるとの判断もありました」(官邸関係者)

 菅氏の4割値下げ発言に対し、ドコモの吉澤和弘社長は「日本やドコモの料金が著しく高いとは、私は思っていない」と強い不満を滲ませた。

「『4割の根拠が不明』と各社は反論していますが、総務省調べでは、月5ギガバイトのデータ通信容量を使う主力プランで、欧州の料金水準は日本の6割程度にとどまっています」(前出・官邸関係者)

 ドコモはこれまでも米AT&Tワイヤレスなどに約2兆円を投じながら、約1兆円の巨額損失を計上するなど、海外投資での失敗を繰り返してきた。最近もインドへの投資で撤退を余儀なくされた。そうした経営判断が許されてきたのも、国内の寡占市場による巨額利益があってこそだ。

「高い基本料金に加え、“レ点ビジネス”でも利益を上げています。契約時に□欄にレ点を入れるだけで、オプションサービスに半ば自動的に加入させ、解約忘れを狙う。これには“高齢者騙し”との批判も出ています」(通信関係者)

 菅氏から携帯大手への“宣戦布告”。値下げ競争の火蓋が切って落とされた。