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連載今夜も劇場へ

本が禁じられた管理社会で、人はいかに生きるのか

『華氏451度』――今夜も劇場へ

2018/09/28

 一九六六年、レイ・ブラッドベリの暗黒郷(ディストピア)小説『華氏四五一度』がフランソワ・トリュフォーによって映画化された。あの頃、随分と管理社会と焚書について議論されたものだ。その小説が神奈川芸術劇場によって舞台化される。

 映画は出動する消防士の場面から始まるが、目的は消火ではなく、秘蔵本の摘発と焚書。近未来の管理社会では、読書や蔵書は禁じられている。忠実に職務を遂行していたモンターグ(吉沢悠)は、ある日、学校教師のクラリス(美波)に会って自分の価値観が崩壊していく。モンターグの心の変化が見どころだ。

 台本担当の長塚圭史は三好十郎作『浮標(ぶい)』の演出で繊細な心理描写を見せ、演出の白井晃は『バリーターク』で奇想天外な空間を創出。この二人によって管理社会における人間の尊厳がどう表現されるのか。タイトルの『華氏451度』は紙の発火点であり、摂氏約二三二度。

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INFORMATION

KAAT『華氏451度』
レイ・ブラッドベリ原作、長塚圭史上演台本、白井晃演出
9月28日~10月14日、横浜・KAAT神奈川芸術劇場にて
http://www.kaat.jp/d/kashi451