昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

なぜデル・ピエロが岐阜に? J2地方クラブの観客動員数が右肩上がりの理由

チームは残留争いの最中だが……

2018/09/30

 目の前に、あのアレッサンドロ・デル・ピエロがいる――。

 イタリア代表として3度ワールドカップに出場し、ドイツ大会では優勝も経験。クラブチームでもイタリア・セリエAの超強豪ユベントスで長年プレーし、2007-2008シーズンには得点王にも輝いた。

子どもたちにサッカーを指導するデル・ピエロ ©football-heroes

 そんな世界的スーパースターが子どもたちにサッカーを教えている。しかもその舞台は、トリノのアリアンツ・スタジアムではなく、岐阜・長良川競技場だ。

「子どもたちがみんな情熱をもってサッカーをしていて、こちらもとても楽しかったよ。たくさん走らされて少し疲れてしまったけどね(笑)。何人か有望な、見所のある選手が男女ともにいたから、これからもっともっと成長していくといいね」

 そう語るデル・ピエロは9月23日、J2のFC岐阜のイベントに参加。子どもたちへのサッカー教室やマスコットとのフリーキック対決、試合のキックイン、ハーフタイムのイベント等々、全力投球でこの日の試合を盛り上げてくれた。冒頭のサッカー教室では、参加した子どもたちがゴールを決めると、笑顔でハイタッチをするシーンもあった。

 長良川のほとりにあるのどかなスタジアムで世界的な元プレーヤーがボールを蹴っている。あまりにミスマッチな光景は、なんだか不思議な気分にさせてくれた。

2006年のドイツW杯で優勝に貢献し、トロフィーを掲げるデル・ピエロ ©JMPA

直接交渉を持ちかける岐阜スタッフの熱量

 そもそもなぜ、元アズーリ(イタリア代表の愛称)のスーパースターが日本の、それも2部リーグのいちクラブのイベントに参加してくれたのだろうか。

 FC岐阜のスタッフが語る。

「ウチのチームのスポンサーに野田クレーンさんという会社があります。その会社が『キャプテン翼スタジアム垂井』というフットサル場の運営もしている。その縁もあって、ユニフォームの左袖に高橋陽一先生の『キャプテン翼』のイラストが入っているんです。せっかくだからマンガの大ファンであるデル・ピエロさんにもプレゼントしてみよう、となって。それで直接、贈ることになったんです。そうしたら本人がSNSにアップしてくれて、大きな話題になった。そこから直に連絡を取って、今回の企画が成立しました」

 もちろん来日の理由には、デル・ピエロ本人が親日家だということもあるだろう。

 だが、それを踏まえた上で、本人に直接交渉を持ちかける岐阜のスタッフの熱量とマーケティング戦略の秀逸さには驚かされる。その機動力と企画力は素晴らしい。

 実際にこの日はデル・ピエロ効果もあり、今シーズン最多となる1万2000人を超える観客を動員した。だが、この日だけでなく、岐阜のホーム観客動員数は近年、右肩上がりに増加している。昨年度は平均で7000人近い観客動員を記録し、今季はこの数字をさらに超えそうだという。