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もし東京で大停電が起きたら……「サイバー攻撃」の脅威を考える

2018/10/06

genre : ニュース, 社会

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住宅街は真っ暗闇に

 コンビニやネオン街の明かりは落ち、住宅街は真っ暗闇になる。人々はまだ光の残る駅周辺や幹線道路沿い、大きめのビルの周辺などに集まり、混乱をきたすだろう。自家発電ができる大型商業施設やJRは電力が落ちることはないが、そうした電力のある場所には大勢の人々が溢れてパニック状態になり、街中でも信号機が滅灯して、交差点などでは徒歩帰宅者などが車道に溢れることになる。

 ガソリンスタンドは停電でポンプが動かなくなってすぐに営業ができなくなる。スーパーやコンビニにも食料や水を買い占める客が殺到するが、商品がすぐになくなるばかりか、予備電源で営業を続けられる数時間はすぐに過ぎてしまうだろう。また、インターネットのプロバイダーなどのサービスも停電の被害を受けるため、インターネットなども利用できない状況になる恐れがある。

 停電が長引くことになれば、新たな問題が顕在化してくる。人工透析などが必要となる持病のある患者や、妊婦や新生児の医療対応が困難になる可能性もある。

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 そして経済への打撃も甚大となるだろう。停電の発生後すぐに停止したオフィスや銀行のシステム、ATMなどは、復旧の目処が立たないため、経済活動が麻痺。東京証券取引所も取引できなくなり、東京だけでなく全国の銀行や企業の国外とのやりとりも滞ることになる――。

 何者かがサイバー攻撃で電力網への攻撃を成功させるようなことがあれば、こうした事態が引き起こされる可能性があるのだ。では日本が狙われるとすれば、どこから攻撃される可能性があるのか。まずは、これまでも日本にさまざまなサイバー攻撃を実施してきた中国や北朝鮮の政府系ハッカーらによる攻撃は警戒すべきである。米軍基地を抱える日本への攻撃は、米国をはじめ西側諸国へのメッセージにもなる。そういう意味では、ウクライナを攻撃したロシアも、日本のインフラに攻撃を仕掛けてくる可能性は否定できない。