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中国はアメリカに遠慮しない 米中貿易戦争の行方は?

2018/10/05
トランプ氏は習氏を「もう友達ではないかも」 ©共同通信社

 泥沼化している米中貿易戦争。トランプ米大統領は9月24日、中国からの輸入品に対し、2000億ドル(約22兆円)規模の追加関税に踏み切った。かたや習近平国家主席も報復措置として、米国製品に600億ドル(約6兆6000億円)の追加関税を発動したのだ。果たして米中どちらが先にギブアップするのか。

「昨年の中国から米国への輸出総額は5050億ドル。一方、米国から中国への輸出総額は1300億ドルです。中国がそれ以上、関税を引き上げるのは物理的に不可能。そのため、トランプ氏はこのチキンレースは米国有利と見ています」(経産省関係者)

 だが現実には、多くの米国企業が中国内で生産活動を行う。こうした企業にとって関税引き上げは当然、部品や材料のコスト増に直結する。

「ところがトランプ氏は目先の貿易赤字だけ見て、不毛な貿易戦争を仕掛けているのです」(エコノミスト)

 そんな中、市場関係者の注目を集めた指標がある。9月18日に米財務省が発表した7月の「米国債海外保有高」だ。

 中国の米国債保有額は1兆1710億ドル(約128兆円)と、6月から77億ドル(約8500億円)も減少。半年ぶりの低水準に落ち込んだ。貿易戦争が激化した春先以降も4月が1兆1819億ドル、5月が1兆1831億ドルと変化がなかっただけに衝撃が走った。

「習氏が、恫喝を続けるトランプ氏に対し、このままなら米国債を売るぞ、とシグナルを送った形です。世界最大の米国債保有国である中国が大量に売却すれば、米国の金利は急騰し、株式市場はクラッシュしかねません」(同前)

 煽りを受けるのが、中国に次ぐ米国債保有国(7月時点で1兆355億ドル)の日本だ。石原慎太郎元都知事は「米国債を売れない日本は米国の“金融奴隷”だ」などと主張してきたが、今回も6月から7月にかけ、中国とは対照的に日本は米国債を51億ドル買い増している。

「ただ、中国は米国に遠慮しない。外貨準備を米国債投資に振り向ける中国にとっても諸刃の剣ですが、より深手を負うのは借金漬けになっている米国の方です」(同前)

 習氏が握る切り札“米国債売却カード”。最後にババを引くのはトランプ氏か。