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ろうそくがない場合の明かりはどうする? 自衛隊の技に学べ

『自衛隊防災BOOK』 (マガジンハウス 編集/自衛隊・防衛省 協力)――ベストセラー解剖

2018/10/10
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『自衛隊防災BOOK』 (マガジンハウス 編集/自衛隊・防衛省 協力)

 災害大国・日本。防災対策は身近な話題だ。危機管理のプロである自衛隊は、昨夏から公式の動画サイト「自衛隊ライフハックチャンネル」で情報発信をしている。その内容と、新たに取材したものをわかりやすくまとめた本が売れている。

「防災意識を高めることを意識しつつ、恐怖心を煽る本にはしたくないと思いながら編集しました。老若男女が備えられる1冊にしたかったんです」(担当編集者の辻岡直美さん)

 陸・海・空の部隊はもちろん、配属先が北か南かでも違う危機管理のテクニック。一般人でも参考にしやすい簡単なものを精査した。

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「自衛隊の方が当たり前にやっていることが、我々にとっては新鮮だったんです。たとえば『バッグには手ぬぐいを入れている』など。ハンカチとしてはもちろん、マスクや三角巾代わりに使え、止血にも使いやすく、裂いて紐にもできる。色々な用途に使えて便利なんです」(辻岡さん)

 被災地からの反響も。

「北海道の書店さんから、『こんな時だからこそ防災コーナーを作りたい』と大地震の直後にご注文をいただきました。そうしたら、本に載っているろうそくがない場合の明かりとりや、懐中電灯をランタンがわりにするテクニックを試されて、SNSで報告されていた被災者の方がいたんです。災害が起こらないに越したことはないのですが、お役に立てたようでうれしかったです」(辻岡さん)

2018年8月発売。初版7000部。現在8刷15万7000部

自衛隊防災BOOK

マガジンハウス
2018年8月9日 発売

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